ホスピタリティの最高峰と言われるホテル業界。
その中でもホテルの顔となるのが「フロントデスク」のお仕事です。
お客様に最初に関わるポジションとなり、対応一つでホテルの印象を左右することもあります。
そんな、フロントデスクのお仕事は「きつい」と言われることも…。

せっかくホテルで働くなら最前線のフロントで働きたい!と願うけど、ムリせず働くにはどうしたらいいのだろう?
そんな不安を解消するため、このページでは、
- ホテルフロントがきついと言われる理由
- きついホテルフロントで働いて月30万円稼げた体験談
- フロントデスクのいい求人を選ぶコツ
についてお話しします。
フロントデスクの仕事内容やメリットも併せて紹介しますので、リゾートバイトを経験しながら次の転職にもつなげたい人は必読です!
目次
ホテルフロントの仕事がきついと言われる理由
それではまず、ホテルフロントの仕事がきついと言われる理由をお話しします。
- 業務量が多い
- 勤務時間が長い(残業が多い)
- 働く時間・生活リズムが不規則になりがち
- 身体を壊しやすい
- パンプス着用の立ち仕事
- 身だしなみが厳しい
- クレーム対応や急なルームチェンジ対応がある
1.業務量が多い
ホテルフロントは、ホテルの中でも中枢のポジションです。
そのため、他の部署に比べて業務量が多いので、時に忙殺されます。
お客様からの口コミで「フロントスタッフが業務に忙殺されている」と書かれることがあるくらい、誰の目から見ても明らかなのは否めません。
2.勤務時間が長い(残業が多い)
ホテルフロントの仕事は、業務量と比例して勤務時間が長くなり、残業も多くなる傾向があります。

時期によっても変わりますが、人手不足なホテルは通年忙しくなるでしょう。
3.働く時間・生活リズムが不規則になりがち
ホテルのフロントの営業時間は、早朝から深夜まで。
24時間営業のフロントデスクなら、終業時間はあってないようなものです。
フロントデスク内でも、
- 早番
- 中番
- 遅番
- ナイトフロント
と4タイプのシフトがあり、その中でインチャージ・キャッシャー・フライト番などの業務があります。
全員がすべてのポジションに入れるわけではないため、シフトの状況やメンバーによっては出勤時間帯が変動することも…。
7:00に出勤の日もあれば、14:00に出勤の日もあったりで、生活が不規則になるのです。
4.身体(体調)を壊しやすい
生活が不規則になると、身体(体調)を壊しやすくなります。
私が働いていたホテルは、フロントデスクのスタッフだけでなく、ベル・レストランなどの職種でも自律神経失調症になる人が続出していました。
体調を崩す人の大きな特徴としては、朝と夜のシフトを行ったり来たりしている場合。
早番や中番だけ、ナイトフロントならナイトフロントだけと、時間帯が決まっている方がマシなようです。
5.パンプス着用の立ち仕事
フロントデスクのお仕事は、パンプス着用の立ち仕事が基本です。
近年は、走れるパンプスや疲れにくい設計のパンプスもあります。
ですがやはり、パンプスで10時間以上も立ち続けるのは楽ではありません。
6.身だしなみが厳しい
お客様の前に立つホテルフロントは、身だしなみが厳しいためとても気を使います。
- 黒髪(茶髪NG)
- 前髪は目にかからない長さ(もしくはピンで止める)
- 肩につかない髪の長さ
- 長い人は一つにまとめる
老舗のホテルでは、ネットに髪の毛を入れなければいけなかったり、人工毛で量を調整しなければいけなかったり、少し古いところも…
スカーフを巻いて、制服をバシッと着こなして仕事をしている人を外から見ると憧れを抱きますが、実際にやってみると、とても堅苦しいです。
7.クレーム対応や急なルームチェンジ対応がある
フロントデスクの中でも骨が折れそうな業務は、クレーム対応です。
特に、混雑している時のクレーム対応には気が張ります。
また、チェックイン業務の最中にルームチェンジ希望があった場合も、少しプレッシャーがかかりますね。
きついホテルフロントで働いて月30万円稼げたリゾートバイト体験談
ホテルフロントのお仕事は、給料や時給が安いですが、月に30万円稼げるホテルフロントもあります。
まず、以下はクリスマス・年末年始で忙しい12月の給与明細例です。

クリスマス・年末年始の繁忙期の1ヶ月のお給料
総支給額は297,450円ですが、ここに3万円のインセンティブがあったので、合計は約32万円です。
ホテルフロントで月30万稼ぐには、以下のポイントを抑える必要がります。
- 時給1200円以上
- 深夜残業がある(勤務開始は12時以降)
- 毎日2~4時間の残業がある
- インセンティブがある(繁忙期は3万円入りました)
- 繁忙期にがっつりシフトに入る
ですが、この時リゾートバイトをしたホテルフロントの感想としては、めっちゃきつかった!というのが本音です。

ホテルフロントの基本業務・仕事内容
ホテルフロントの仕事内容には、以下のようなものがあります。
- チェックイン/アウト
- メンバーシップ新規入会の勧誘
- 宿泊予約管理
- 部屋割り(アサイン)
- 会計(キャッシャー)・レジ締め
- 館内案内・観光案内
- 電話対応・各部署への連絡
チェックイン/アウト
フロントデスクの仕事と聞いて一番最初に思い浮かぶものは、やはり「チェックイン・チェックアウト」業務。
4~5つ星のホテルフロントの場合、チェックイン所要時間を〇分〇〇秒以内にするといった基準(目標)があります。
以下、4分30秒の間に行われるチェックイン処理の手順です。
予約者名と宿泊者名の確認
↓
用意しているお部屋タイプと予約したお部屋タイプが合っているか確認
↓
外国人のお客様のパスポートコピーを取る
↓
予約表にサイン(署名)をいただく
↓
お客様が記入している間にルームキーをアクティベイトする(カードキーの場合)
↓
宿泊料金の徴収(ある場合)
↓
メンバーシップ新規入会の勧誘
↓
お部屋までの行き方を案内
↓
レストランや大浴場・利用できる館内施設の案内
↓
「ごゆっくりお寛ぎくださいませ!」と挨拶
チェックイン時に急いでいる雰囲気を出してしまったり、業務に追われている空気を出してしまうと、お客様からのレビューで「スタッフが業務に忙殺されている」と書かれることがあります。
本当に、最初の印象が一番大事!
それに比べると、チェックアウト業務はお客様と接する時間が短いのでラクです。
お客様からルームキーを預かる
↓
ルームキーをシステムに通して支払いが残っていないかを確認
↓
お部屋付けしている料金がある場合は清算
↓
「いってらっしゃいませ」と笑顔でお見送り!
お客様がフロントから離れたら、お部屋のチェックアウト処理をかけて終了。
チェックアウト処理をかけると、すぐにクリーニングが入ります。
大型ホテルになると、200~400部屋近くのチェックイン・チェックアウト業務が毎日あるので、キーボードをたたきすぎて腱鞘炎になりそうな日もあるのです。
宿泊予約管理
宿泊予約管理は、予約課がある大型の施設と、フロントが宿泊予約も管理する中・小規模な施設の2つに分かれます。

近年は、予約サイトを通してのブッキングが主流ですが、時々電話で予約を受けることもあります。
部屋割り(アサイン)
ホテルの部屋割り(アサイン)は、基本的にはマネージャーやスーパーバイザー、その日のインチャージなどが行います。
特に、リピーターのお客様からの要望がある場合は、優先して希望に近いお部屋をご用意。
過去にアサインして苦情があった部屋は割り当てないよう、注意する必要があります。
- 喫煙ルームから遠い部屋にしてほしい
- エレベーターの近くの部屋はやめてほしい
- 窓から景色が見える部屋にしてほしい
- 直射日光の入らない部屋にしてほしい
利用目的によって要望も様々なので、稼働率(ホテルの部屋が埋まっている割合)を100%にはしません。
会計(キャッシャー)
宿泊料金のお会計、ホテル・旅館内で利用したレストラン・バー・ラウンジ・アクティビティ等のお部屋付の精算は、フロントデスクの仕事です。
私が働いていたホテルでは、1日に2回レジ締め作業がありました。
朝番で1人・ナイトフロントで1人ずつ当日のキャッシャー担当を配置して、会計業務を行います。
館内案内・観光案内
フロントスタッフは、ホテルのすべてを知り尽くしておかなければいけない部署。
- お部屋への入り方
- 鍵の使い方
- お部屋の電気の付け方
- アメニティで用意されているもの・されていないもの
- リモコンの使い方
- スイッチの位置はどこか
- 宴会場や会議室の場所
- 自動販売機の位置
など、細かな質問にも対応します。
時々、フロントにかかってくる電話で聞かれることもあり、ベテランのスタッフは部屋ごとの細かい仕様まで覚えているのです。
電話対応・各部署への連絡
手配しているタクシーの予約時刻の変更希望や、モーニングコールの依頼の電話をフロントで受けたら、レストラン・ベル・ハウスキーピング・予約課・営業など他部署への電話連絡業務も発生します。

まさに、ホテルの中枢となるポジションです。
ホテルフロントの1日の流れ
ホテルフロントの1日の仕事の流れをざっくり説明すると、以下のような感じです。
7:00~10:00
●ひたすらチェックアウト(宿泊者データ入力しながら)
●当日・翌日のお客様の部屋割り
●団体宿泊者リスト作成
↓
10:00~11:00
●午前のレジ閉め
↓
11:00~15:00
●団体宿泊用のルームキー作成&チェック
●事務作業
●交代で昼食・休憩を取る
↓
15:00~22:00
●ひたすらチェックイン
●宿泊カードのデータ入力
●次の日の宿泊するお客様の部屋割り
●ルームキー作成
●翌日・翌々日のお客様の部屋割り
●夕方分のレジ閉め
↓
22:00~翌朝
●夜の分のレジ閉め
●バッジ処理
●15:00~22:00までに終わらなかった仕事を引き続き行う
●ルームサービス対応
フロントが24時間営業ならば、1日の仕事を細かくシフトやポジションで分けます。

ホテル業はサービス業なので、トラブルが発生したときはお客様が最優先。
すべての作業が押され残業が多く発生することも多々あるのです。
ホテルフロントの仕事をするメリット
- 稼げる・貯金できる
- インセンティブがもらえる可能性
- 接遇・接客力が上がる
- 業務処理能力が身に付く
- オフィスワークへ転職しやすい
1.稼げる・貯金できる
フロント業務では、多くのことを覚える必要があります。
そのため、レストランホール・ベル・売店・裏方ポジションに比べて時給が少し高めに設定されていて、リゾートバイトの中では稼げるポジションです。
残業が多い点に関してはデメリットでもありますのか、稼ぎたい人にとってはメリット!
忙しければお金を使う場所もないので、貯金もできます。
2.インセンティブがもらえる可能性
フロントは、チェックイン時に必ずお客様に関わるポジションのため、インセンティブがもらえる可能性があります。
大型ホテルや全国展開・世界展開をしているホテルは、独自のメンバーシップ制度を導入していることがあり、フロントスタッフは新規加入の促進を行うのです。
チェックイン業務に加えてメンバーシップのセールスも同時に行うことは、スタッフにとっては負担でひと手間。
メンバーシップの案内は必須ではないため、省いても問題ありません。
そこでインセンティブ制度を用意し、スタッフのモチベーションアップに繋げています。

その他にも、チェックイン時にお部屋のアップグレードを達成すると、数千円のインセンティブが入ることもあるのです。
3.接遇・接客力が上がる
フロントデスクは、お客様に一番最初に接するポジションです。
まさにホテルの顔で、フロントデスクの対応でお客様の第一印象が決まると言っても過言ではありません。
そのため、礼儀・所作・言葉遣い・笑顔でリクエストにお答えする・忙しくても外に出さないなどの配慮が必要になるため、接遇・接客力が上がります。
4.業務処理能力が身に付く
ホテルフロントの仕事は、接客サービス業に分類されますが、事務処理も行います。
自社システムを使い、
- チェックインチェックアウト
- ルームチェンジ
- ドリンク代の部屋付
- 部屋のアサイン
- バッチ作業
- キャッシャー業務
など、お客様対応していない時は画面に向かって仕事をしている状態です。
スピード感があるポジションなので、事務処理能力が身につきます。
5.オフィスワークへ転職しやすい
自社システムを使って事務処理を行った経験は、オフィスワークへ転職する際に活かせます。
静かにコツコツ進める仕事だけでなく、訪問者がいたり電話対応多い活気のある職場でも活躍できる印象です。
ホテルフロントで身につけたサービス精神や接遇接客力、コミュニケーション能力もプラスになるでしょう。
比較的楽なホテルフロントやいい求人を選ぶコツ
ホテルフロントの仕事は、「きつい」と言われデメリットもありますが、実は楽なホテルも存在します。
そこでここからは、いい求人を選ぶコツを紹介します。
- 部屋数が少ないホテルを選ぶ
- フロントデスク24時間営業は避ける
- ルームサービスのないホテルを選ぶ
- リゾートバイトの派遣会社と良好な人間関係を築く
1.部屋数が少ないホテルを選ぶ
ホテル業界や接客・サービス業は、慢性的な人材不足。
楽なホテルを希望するなら、部屋数が少ないホテルを選ぶことがポイントです。

これからは、100室以下のホテルを狙います。
2.フロントデスク24時間営業のホテルは避ける
私がフロントデスクとして働いた中で最もきつかったホテルは、フロントが24時間営業のホテルでした。
特に、4~5つ星の一流ホテルや大型リゾートホテルは、便利なサービスを提供するために必ず誰かがフロントに駐在しています。
そこで、フロントの営業時間が決まっているホテルを選ぶとベター!
24時間営業していると、突発的なトラブルが起きた時に定時で帰れませんが、営業時間が決まっていたらクローズ後のお客様対応が必然的になくなります。
1日の業務の終わりが見えているだけで精神的な負担は減りますし、残った業務が事務作業だけなら次の日に回して切り上げることが可能です。
3.ルームサービスのないホテルを選ぶ
フロントデスク24時間営業のホテルにルームサービスがある場合、真夜中のルームサービスを対応する可能性があります。
基本的にルームサービスはレストランが対応しますが、レストランの営業が終了した後はフロントデスクの仕事です。
実はこのルームサービス対応がなかなか厄介!
夜はフロントスタッフの稼働人数も減るので、立て続けに注文が入ると通常業務が追い付きません。
4~5つ星の一流ホテルや大型リゾートホテルでフロントデスクが24時間営業なら、ルームサービスも24時間対応の可能性が高い!
そのため、ルームサービスがないホテルを選ぶことをおすすめします。
4.リゾートバイトの派遣会社と良好な人間関係を築く
リゾートバイトでいい求人をもらうためには、派遣会社と良好な人間関係を築くことがとても重要になります。
求人の営業担当も人間なので、トラブルなく長期的に働けるいいスタッフに来てほしいと願うものです。
良好な関係を築いておけば、
- いい求人があった時に紹介してもらえるようお願いしやすい
- 穴場の求人を紹介してもらえる
- 希望のエリアで求人を探してきてくれる可能性がある
- 万が一トラブルがあった場合でも営業担当が味方になってくれる
など、メリットがたくさんあります。
いくつかのホテルを経験してみたいと思うなら尚更、いい求人を紹介してもらえる状態にしておきましょう!