海外留学やワーキングホリデー(以下 ワーホリ)を目指し始めると、「3~6ヶ月で英語ペラペラ」「渡航前にネイティブレベルに!」といった情報を目にします。
しかし、簡単に英語が伸びると言っている人ほど英語力はそんなに高くないです。
現実として、留学やワーホリで海外に1年行くだけ・語学学校に通うだけでは飛躍的な英語力の向上は望めません。
ですがごく稀に、たった1年の海外留学でネイティブレベル並に英語ペラペラになって帰国する人もいます。
そこでこのページでは、
- 1年の海外留学でネイティブレベルの英語力を身に付ける人の特徴
- 海外に行ったり語学学校だけでは英語が伸びない理由
- 英語力を伸ばすために現地でやること
についてお話しします。
目次
海外留学1年でネイティブレベル並に英語ペラペラになる人の特徴
海外留学1年でネイティブレベル並に英語ペラペラになる人の特徴については、私が働いていたインターナショナルスクールでの話と、海外の現地法人の話を例にお伝えします。
比較的「英語が伸びやすい」と言われる学生時代に、海外の現地校やインターナショナルスクールに通っても、英語での授業に慣れて英語力が身につくまで2〜5年かかると言われています。
実際の入試の評価では、海外の現地校やインターで教育を受けた成績優秀な帰国子女でも、ネイティブの英語教員の評価はどんなに良くても「ネイティブレベルの一歩手前」なので、ネイティブレベルの英語力を身に付けることは簡単ではありません。
ごく稀なケースで、1年の海外留学でネイティブレベル並の英語力を身に付けて帰国する人もいましたが、そんな人の最大の特徴は、元々の偏差値やIQが高く東京大学や京都大学に現役で合格したレベルでした。
また、ニュージーランドの職場で一緒だった海外大学のPhDを持っている同僚の話では、海外在住歴10年で英語がペラペラに聞こえる人でも、仕事上での会話の内容が噛み合っていないし間違えていることが多いと言うくらい、英語は甘くないです。
逆に言うと、1年でネイティブ並に英語ペラペラにはならないことが普通!
そのため、「3~6ヶ月で英語ペラペラ」「渡航前にネイティブレベルに!」といったことを達成できなくても、全然不思議ではありません。
留学/ワーホリの語学学校や1年の海外生活で英語が伸びない理由9選
それでは次に、留学/ワーホリの語学学校や1年の海外生活で英語が伸びない理由をお伝えします。
- 語学学校の授業だけでは十分ではない
- 初級〜中下級クラスには日本人が多い
- 授業を受けただけで英語を勉強した気になっている
- ある程度英語で生活できると満足する
- 同じフレーズ・構文・単語を使っている
- 間違っても相手に伝わればOKと思っている
- 一定のレベルを超えると伸び悩む
- 英語力以前に日本語力が低い
- 英語力を伸ばした先に目標がない
1.語学学校の授業だけでは十分ではない
海外留学やワーホリで英語を伸ばすためには、語学学校の授業を受けるだけでは十分ではありません。
語学学校にフルタイムで通っても、レッスン時間は週に20〜25時間が一般的です。
日本人が多い初級クラスから始める場合、初級脱出の目安と言われている「1000時間」を達成するまでには約30週間(約7~8ヶ月)かかります。
語学学校のレベル分けは、基本的に3ヶ月で1レベル上がるシステムを採用しているケースが多いので、
初級3ヶ月
↓
中下級3ヶ月
↓
中級1~2ヶ月
という道のりを経て、やっと英語だけの生活に困らなくなるのです。
2.初級〜中下級クラスには日本人が多い
語学学校に通うだけでは英語が伸びない理由の一つに、初級~中級クラスには日本人生徒が多いという特徴があります。
海外留学やワーホリの人間関係の始まりは語学学校からである上に、日本人は英語力が低いため、多くの留学生・ワーホリが日本人が多い環境からのスタートです。
人間はラクな方に流れる弱い生き物なので、日本人に囲まれると日本語を話す人が圧倒的多数ですが、実際のところ、アジア人もヨーロピアンも南米人も、同じ言語を話す人同士で集まる傾向があります。
そんな現実がさらに拍車をかけ、日本語環境・日本人環境から抜け出せない人も珍しくはありません。
3.授業を受けただけで英語を勉強した気になっている
海外に行き語学学校に通うと、授業を受けただけで英語を勉強した気になるという海外マジックにかかることがあります。
もちろん、ちゃんと授業に出席していれば、英語が全く伸びないということはありません。
しかし、お金を支払うだけで入学できて、テストに合格しなくても課題をこなさなくても卒業できる語学学校では、ただ学校に通うだけでOK!
受け身の授業に慣れている人ならば、それだけで勉強した気になっても不思議ではないでしょう。
英語力の伸びが早い人となかなか英語力が伸びない人の差は、レッスン時間以外でどのように英語と向き合うか?です。
- 授業の予習・復習
- 授業で学んだことを実生活で活かす
など、クラスルームの外でどれだけ英語を話して・使って、どれだけ新しい英単語や英語表現に出会うかがカギとなります。
4.ある程度英語で生活できると満足する
- スーパーで買い物ができる
- 公共交通機関を利用できる
- レストランで注文できる
海外に住んでいても、ある程度英語で生活出来るようになると困ることが少なくなり、海外生活自体に満足します。
生活費を稼ぐために仕事をしなければいけなくても、「日本食レストラン」という日本語だけで仕事ができる素晴らしい環境もあり、海外生活が長くてもずっと日本人環境のままの人がいるのも納得できますよね。
現状に満足していて毎日幸せだと、頑張ろうと思わない、だからこそ英語も伸びなくなります。
5.同じフレーズ、構文、単語を使っている
英語をペラペラ話しているように聞こえて、いつも同じフレーズ・構文・単語を使っている人に出会ったことはありませんか?
海外の日常生活でよく使う単語は基本的に決まっていて、言い回しさえ覚えてしまえば会話に困ることはありません。
日常英会話はテストや試験ではないため、難しい構文を覚えたり会話の中で様々な表現を駆使する必要はなく、仕事でもある程度必要な語彙・言い回し・専門用語を覚えてしまえば、それ以上の英語力を身に付けるかは本人次第です。
細かなニュアンスまで表現できるくらい英語力を伸ばすには、単語を使い分けたり、時制や文法のルールをちゃんと理解したり、自然な表現を学ぶなど、同じ会話パターンから脱出する必要があります。
6.間違っても相手に伝わればOKだと思っている
海外で英語を使って生活しているのは、英語ネイティブだけではありません。
多くの人が、間違いながらも英語で会話していますし、クセや訛りが強い発音でも「英語は英語」です。
もちろん、英語を身に付けるために「たくさん間違えること」は重要なマインドであることは大前提!
ですが、間違った英語表現を正しく使えるようになろう!と意識しなければ、それ以上英語を伸ばすことは難しくなります。
ある一定のレベルに達したら、間違っても相手に伝わればOKという領域から抜ける必要があるでしょう。
7.一定のレベルを超えると伸び悩む・モチベーション低下
全く英語ができなかった初級から中級になる頃の期間は、
- 英語で外国人とコミュニケーションが取れる自分に感動する
- 使える表現が増えていくことを実感できる
など、成長を感じる場面が多くあり、英語学習が一番楽しい時期かもしれません。
ですが、さらにそれ以上のレベルを目指そうと思った時、覚える語彙・構文・表現・フレーズの範囲が一気に広がり伸び悩む時期を迎えます。
その時に注意したいのは、英語学習に対するモチベーションの低下です。
それまでも一生懸命勉強してきたけれど、途端に英語の伸びを感じなくなったり、歩みが遅くなったように感じたり、英語を学べば学ぶほど果てしなく続く英語学習の大変さに気付き、愕然とすることもあります。
8.英語力以前に日本語力が低い
英語力がある程度ついてくると、英単語の意味を英語で説明されても理解できない状況が増えてきます。
その時に気づくのが、理解を深めるために日本語で英単語の意味を調べでも、日本語ですら意味が分からないことです。
英語で授業をすると意見を求められることがありますが、そもそも日本語でも言葉の意味を知らないため、英語力がある程度ついていても意見が出て来ない…。
そこまで来たら英語以前の問題なので、英語力ではなく日本語力を磨く必要があるかもしれません。
9.英語学習の先に目標がない
- 海外で日常生活が送れるようになる
- ローカルジョブを手に入れる
- 現地法人のオフィスワークに従事する
ある程度英語に不自由しなくなると感じることは、ただ海外で生活しているだけで英語力を維持できているという錯覚です。
そして、英語力が伸びている時は楽しいけれど、英語を維持するための勉強は楽しみを感じず、英語学習に対するモチベーションも下がります。
辞めてしまえば英語力低下の一途を辿るのみ。
英語学習の先の目標がないと、英語を勉強し続けることは難しいと感じました。
海外留学/ワーホリで英語を伸ばすためにやること
海外留学やワーホリで英語を伸ばすために、語学学校の授業以外でやるべきことを紹介します。
- 自己学習
- 外国人やローカルの友達を作る
- テレビやラジオから英語で情報収集をする
1.自己学習
先ほど、英語力を伸ばすためには英語の授業を受けただけでは足りないと言及しましたが、他に必要なのは自己学習です。
新しく目にした単語は14回使わなければ定着しないとケンブリッジコースの先生に聞いたことがありますが、1日の新出単語が最低20〜30単語ぐらいは出るので、自己学習をしなければ追い付きません。
やってもなかなか覚えられない現実もありますが、やらなければ止まるだけです。
2.外国人やローカル(現地)の友達を作る
外国人やローカルの友達を作ることは、英語力を伸ばすための定番中の定番の方法ですが、実際できない人がたくさんいます。
語学学校に通っていても、クラスメイトに日本人が多いうちは、なかなか外国人の友達の数が増えない時期もあります。
ローカル(現地)の人は、英語が話せない外国人を相手にしないので、友達作りがもっと難しくなる…。
3.テレビやラジオから英語で情報収集をする
海外に着いたら、地元のテレビ番組を見て情報収集をしてみましょう。
もちろん時事ニュースや政治経済などは難しいトピックなので、無理しなくてOK。
私が実際に聞いてみて練習になると思ったものは、
- 今日の天気予報
- 料理番組の解説
- 近所のビーチや海にサメやワニが出た話題
といった、自分の生活に根付いた身近な情報です。
必要な情報なのでアンテナを張りやすい上に、聞いた情報を誰かに伝えることで、インプット/アウトプット両方の練習になります。
また、英語のレシピを見ながら料理を作ると、細かな動詞の表現を増やすことができます。
海外に到着したばかりの頃は、テレビ番組やニュース番組を見ていても何を言っているのか理解できないかもしれません。
しかし、2~3ヶ月ぐらい経った頃から授業で習った単語がニュースの中に出てきていることが分かるようになり、語学学校の勉強が実生活に結びついた実感を得ると思います。
海外で英語を伸ばすために気をつけること
海外で日本語環境から離れ、どっぷり英語漬けの日々を送るときに、注意してほしいことがあります。
それは、猛勉強をして鬱になりそうだったら少し息抜きをすることです。
目標を達成するためには集中的に猛勉強する時期も必要ですが、一番大事なのは英語の勉強を継続させることです。
- プツンといきそうなら一歩手前で英語と距離を置く
- 日本人の友達と日本語で思いっきり過ごす
「日本人は日本人同士でつるむ」と言われがちですが、実際、日本語を徹底的に排除するとストレスが溜まります。
日本人の友達と時間を過ごすことに罪悪感を感じなくても大丈夫ですし、適度な息抜きなら逆にプラスになりますよ!
【まとめ】最初はノリも大事!でも「英語」で話すことは別
- 海外に行けば英語は伸びる
- 現地に行ってしまえば何とかなる
というマインドは、新しいことに飛び込むきっかけになるため、必ずしも悪いことではありません。
実際、英語ができなくてもローカルジョブを見つけた人や、多国籍な職場環境で働いている人もいます。
でも忘れていはいけないことは、「ノリ」で話すことと「英語」で話すことは別物。
英語力を伸ばすなら、「ノリ」からの脱却も必要不可欠です。