
海外で就職活動をすると頻繁に遭遇する、「メールで求人に応募しても返事が来ない」という状況。
履歴書を100通送ってどこからも返事が来なかったら初めて嘆いてもいい(それまでは嘆くな)という、海外の面接官からの厳しいアドバイスもあるほど、現地の会社のポジション争いは熾烈です。
そんな争いが繰り広げられる現地企業の求人へ応募する時は、「あなたを面接に呼びたくなる履歴書づくり」がカギとなります。
ということでこのページでは、面接に繋げるための英文レジュメ(履歴書)の書き方を紹介します。
目次
英文レジュメ(履歴書)にはフォーマットがない!

英語で履歴書は「Resume(レジュメ)」や「CV(シーブイ)」と言います。
海外での就職活動で使う英文履歴書には、日本語の履歴書のようにフォーマットがありません。
A4サイズの白いキャンパスに、自分の経歴を並べていくだけのとてもシンプルなものです。
海外就職用の英文履歴書は応募先に合わせて作り変えるターゲットCV
熾烈なポジション争いが繰り広げられる海外の就職活動では、応募する会社やポジションに合わせて、内容を変えていく必要があります。
求人に応募する時、日本語の履歴書と同じように使いまわしをすると、会社が求めている人物像や募集しているポジションにふさわしいスキルや経験と、履歴書に書かれているあなたの経歴が合致せず、即スルーされてしまうこともあります。
例えば、営業・マーケティングの求人に応募するなら、過去の営業・マーケティングの経歴や、同じポジション経験はなくても営業・マーケティングでも使えるスキルが書かれた履歴書だと理想的です。
海外就職用の英文履歴書は、応募先のポジションに合わせてピンポイントで狙っていく「ターゲットCV」なのです。
【実践】面接に繋がる英文履歴書の書き方8つのポイント
それでは、英文履歴書の書き方とポイントを、例を使って解説していきます。
1.最初に名前と連絡先!性別・国籍・生年月日はいらない

日本の履歴書にはA4サイズの紙の上部3分の1ものスペースを「氏名、住所、電話番号、生年月日、性別」に当てますが、英文履歴書の個人情報欄は日本語履歴書に比べてコンパクト!
英文履歴書では、生年月日や性別を書く必要はありませんので、履歴書に書く個人情報は「氏名、住所、電話番号」のみ!

履歴書はなるべく、自分の実績やアピールの場として使いましょう。
2.【サマリー】求人募集にあるキーワードを織り交ぜるのが基本

求人募集には、「Requirements(リクワイヤーメント)」と呼ばれる個所があり、求めている人物像が書いてあります。
例えば以下は、英語圏にある語学学校の求人募集広告に書かれていた文言です。
- 3 years marketing experience (Work Experience in ESL school is an asset)
- Strong communication and interpersonal skills.
- Strong team work spirit: Effectively work in a team environment to achieve individual and departmental objectives
この学校が欲しい人は、
- 3年のマーケティング経験がある人(語学学校での職歴があれば尚良い)
- 優れたコミュニケーション力と対人関係力がある人
- 個人・部門での目標達成のためにチームで働ける人
そのため履歴書の「サマリー」(自分がそのポジションにふさわしいことをアピールするための要約)には、求人募集に書かれていたキーワードを使いましょう!

Summary of Qualifications
- Over Three years of combined experience in Sales/Marketing and Education.
(営業・マーケティングと教育業界での3年以上の経験) - Excellent communication and interpersonal skills.
(優れたコミュニケーション能力と対人関係スキル) - Provide honest, reliable and competent service to my employer, my employer’s clients and team members
(雇用主・取引先・チームメンバーへの正直で信頼のある有能なサービスをもたらします)
たとえ、マーケティング業界での経験が5年・6年・7年だったとしても、求人票に書かれている数字が「3年」の場合は、「3年以上」という表現を使うことが良しとされています。
そして、シャイな日本人にとっては少し気が引けるかもしれませんが、「優れたコミュニケーション能力」「有能なサービスを提供する」など、自分のことを自分で褒めちぎりましょう!
3.【職歴】応募先のポジションと関連した業務経験のある会社を箇条書きで

英文履歴書は、応募するポジションに合わせて作り合えるターゲットCV!
つまり、求人に応募する時は、応募先のポジションと関連した業務経験のある会社の「Work Experience(職歴)」をメインに書いていきます。
どういうことかと言うと、例えば、教育業界のマーケティングポジションに応募する場合、ショップ店員やレストラン・カフェのフロアスタッフ等の職歴は、業務内容に関連性がないため省いてしまってもOK(この時、空白期間ができることもありますが、面接で説明できれば大丈夫です)!
私の経験ですが、履歴書を配った会社から「あなたに興味あるんだけど、関連業務や学歴の部分をもっとハイライトした履歴書を作り直して面接に来てもらえない?」と言われたことがあります。
応募先のポジションの業務内容と自分自身の過去の職務経歴・業務経験が合致していることは、履歴書の空白期間を埋める努力をするより大事です。
また、実績を書く場合は、数字を含め具体的に書きましょう!
4.職歴を書くときの時制は、過去の職歴は過去形・現職ならば現在形
英文履歴書の職歴を書くときは、動詞を最初にして書き出すのですが、すでに退職している会社の職歴を書くならば、使う動詞の時制は過去形となります。
例を挙げると、以下の画像は私の履歴書なのですが、現在は日本で働いているため、ニュージーランドでの過去の職歴を説明した文章はすべて動詞の過去形から書き出される、ということです。
もし、今の会社で働きながら(会社に籍を置きながら)の転職活動であれば、上記の動詞の時制は現在形となります。
三人称単数形で書き出すようになりますので、「s」「es」をつけるのをお忘れなく!
5.【学歴】英文履歴書は最終学歴のみの記載でOK!
英文履歴書で必要なのは、最終学歴のみ!
日本の履歴書のように、高校・大学と2つの学歴を書く必要はありません。
もし、職歴に書くことが少なくて、就職活動している国で語学学校に通い資格を取っていたりビジネスコースに通っていた場合、最終学歴ではなくても学校名・コース名・取得した資格もここで書いていいと思います。
書き方の基本としては、学校名・在籍期間・専攻・学位を2行にまとめましょう!
6.【スキル】応募先企業で必要だと思われるスキルを書く
ここで書くスキルは、コミュニケーション能力や対人関係スキルではなく、実務的なスキルです。
一般的なのがパソコンのスキルですが、これはどこの会社に応募する場合でも使えるので、テンプレートとして保存しておくことをおススメします。
7.【言語】強い言語から書いていく!

海外で就職活動をしているなら、使える言語とそのレベルを書きましょう!
と言ってはいますが、私は現地で足を使って履歴書を配り歩く場合は省くこともありましたし、現在の履歴書には載せていません。
というのも、履歴書を配りに行った先でマネージャーに取り次ぐようにお願いし、その場で会話が成り立ってしまえば「英語」を使ってのコミュニケーションがどの程度できるか、相手が把握できてしまうからです。
また、現地の会社で働くのであれば、英語ができることは必須なので、外国人の応募者でも「言語」を載せていない人もいます。

Japanese-Native, English-Fluent
※Fluentの部分は、Advenced, Pre-Advanced, Upper-Intermediateなど、自分の英語力に合わせて書き換えましょう。
8.【リファレンス】海外での就活はあなたを推薦してくれる第三者の存在が必要!
海外での就職活動で大きなポイントの一つが、「リファレンス」の存在(履歴書には「レフェリー」と書くこともある)。
リファレンスとは、あなたのことを推薦してくれる人のことで、前職の会社の上司が一般的ですが、新卒なら学校の先生・教授などでもOK!
書き方としては、レフェリーの名前・会社名・ポジション名を書く人もいれば、「Reference available upon request(リクエストに応じて推薦者を照会します)」と書く場合の2種類あります。
が、リファレンスは採用が決まる最終段階で必要なものなので、面接の時点では後者の書き方でOKです。
8.新卒で職歴がないならインターン・アルバイト・ボランティア活動も記載する
海外の就職活動では、新卒と社会人経験者が同じフィールドに立たされます。
新卒採用というシステムがない海外では、圧倒的に経験者の方が有利なのですが、新卒の人は「インターン・アルバイト・ボランティア活動」を書きましょう。
海外就職で重視されるのは、「募集しているポジションでの業務経験も関連業務の経験もない畑違いの正社員経験者」ではなく、アルバイトでもインターンでもボランティア活動でもいいので「実務経験があるか?」です。
ダメ出しされた英文履歴書作成のポイント
履歴書はできるだけ1枚に、キャリアがある人でも2枚以内
実はこの、「履歴書を何枚にまとめるか?」については、国によって違いがあります。
例えば以下は、カナダで職探しをしたときに履歴書を添削してもらった時のアドバイス。
「キャリアが浅い20代~30代前半なら、履歴書は1枚にまとめる」
「趣味・興味などは入れない」
そして、カナダで作成した履歴書をもってニュージーランドで就職活動をした時は、
「もう少し個性を出して、ちょっとカラーを入れた方がいい」
「2枚ぐらいになっても大丈夫」
「話題作りのために、趣味や特技を入れておくといい」
と真逆のアドバイスが…

就職活動をする国の現地の人や、転職エージェントなどにその国の就活のスタイルを確認して、国別で履歴書を用意しましょう。
同じ業務内容は重複させない
英文履歴書作成で職歴を書くとき、応募するポジションに関連した過去の業務経験を書いていくと、どこの会社でも共通している業務内容があることに気が付くと思います。
例えばマーケティングの場合、外部からの問い合わせ(対面・電話・メール等)に対応する業務が必ず含まれます。
そうなると、どこの会社の職歴を書くときも
「顧客問い合わせの対応と、対面・電話・インターネットでのフォローアップ」
という業務内容を書きたくなるのですが、同じ業務内容はなるべく重複させないことがポイントです。
同じことを何度も書くより、過去に携わったことのある業務でまだ履歴書に書いていない業務内容があれば、プラスしましょう!


いちいち履歴書を書き換えるのが面倒?マスターCVを用意しておこう!
応募する会社やポジションに合わせて履歴書を作り変えることが必要な海外での就職活動。
正直なところ、返事が来るかどうかもわからないのに、毎回頭を使って履歴書の書き換えをする作業は心が折れます。
そこでオススメするのが、今まで経験した全職歴・全業務が書かれた「マスターCV」を用意しておく方法です!
マスターCVさえあれば、コピペだけで履歴書作成が可能で、時間もそんなにはかかりません。
