海外の就職活動では、履歴書よりも大事と言われている「カバーレター」。
日本で言う「送付状」のようなものですが、異なる点は、海外の就職活動でのカバーレターは「自己PR」の役割を担っていることです。
企業の求人に応募する場合、履歴書と一緒に提出を求められますが、応募先に合わせて適切なスタイルで書くことが理想とされています。
また、必ずカバーレターを付けないと仕事が見つからないというわけではありません。
そこでこのページでは、
- 応募先別カバーレターの書き方
- カバーレターがなくても大丈夫だったケース
- 実際にダメだしされた書き方のポイント
についてお話しします。
目次
応募先別カバーレターの書き方
カバーレターの書き方は、大きく分けて以下の2つのタイプに分けられます。
- 現地の大企業に応募するときのカバーレター
- 中小企業や個人経営などに応募するときのカバーレター
1.現地の大企業に応募するときのカバーレター
以下は、オーストラリアやニュージーランドでの就職活動でよく利用される「SEEK」に掲載されていた、ベーシックなカバーレターの例です。
上記のスタイルのカバーレターの作成が必要なのは、
- 海外の大企業へ応募するとき
- 企業のホームページに掲載されていた求人を見て応募するとき
- 現地の求人情報サイトに掲載された企業求人へ応募するとき
- 応募先企業の担当者が保守的で型にはまったスタイルが必要と想定されたとき
など、主に現地の人の「就職先」として信頼されている会社に応募するときです。
しかし、中小企業や個人経営の会社に応募するときは、先方の会社名や応募先会社の所在地を省いた書式を利用しても良しとされています。
2.中小企業や個人経営などに応募するときのカバーレター
以下の画像は、私がカバーレターを作成するときに参考にしたサンプル例です。
海外の大企業に応募する際のカバーレターとは異なり、簡素化されていますが、現地の人たちのカバーレターを見せてもらうと、この書式を使っている人が案外いるとわかりました。
私自身、オーストラリア・カナダ・ニュージーランド・マレーシアで就職活動をしましたが、
- オーストラリアのマーケティングマネージャー
- カナダの人事マネージャー
- ニュージーランドの事業開発マネージャー
のような、採用に関わるポジションに就いている方々にカバーレターの添削をお願いした時や、通っていたビジネスコースでカバーレターの添削をお願いした時は、とくに書式について問題を指摘されることはなかったです。
海外のサイトでカバーレターのサンプルやテンプレートを探してみると、先方の会社名や所在地を記載していない書式のサンプルも多く、書式や形式がすべてではないと言えます。
また、企業の採用担当者の中には、パーソナリティーが見える人を面接に呼びたいと考えている人もおり、いかに自分の履歴書に興味を持ってもらえるように書くか・いかに面接に呼んでもらえる自己PRが書けるかが大事なので、カバーレターの書式よりも書いてある内容の方が重要です。
カバーレターの書き方のポイント
それではここから、カバーレターの書き方のポイントをお話しします。
- 個人情報(①名前 ②電話番号 ③メールアドレス ④住所)
- ⑤日付
- 宛名・宛先(⑥担当者名 ⑦会社名 ⑧会社所在地)
- ⑨採用担当者名
- ⑩件名
- ⑪本文
- ⑫結びの言葉
- ⑬自分の名前
個人情報
個人情報は、①名前 ②電話番号 ③メールアドレス ④住所の順に記載します。
これは、大企業に応募する際のカバーレターも、中小企業に応募する際のカバーレターも同様です。
しかしながら、中小企業に応募する際のカバーレターでは、「④住所」を省略しても問題ありません。
日付
カバーレターを含む応募書類を提出する日付を記載します。
書く順番は仕事を探す国によって異なり、英語圏で言うと、
イギリス英語圏:DD/MM/YY(日/月/年)で記載
例)イギリス・アイルランド・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・ヨーロッパ諸国・インド・アフリカ諸国
アメリカ英語圏:MM/DD//YY(月/日/年)で記載
例)アメリカ・カナダ・フィリピン・日本・韓国・南米
のどちらかで記載することになります。
例えば「2022年12月25日」と記載したい場合、
イギリス英語圏だと「25/12/2022」
アメリカ英語圏だと「12/25/2022」
のように記載するので、応募先の国に合わせると良いです。
宛名・宛先
⑥担当者名 ⑦会社名 ⑧会社所在地といった「宛名・宛先」は、大企業に応募する際のカバーレターには記載しますが、中小企業のや個人経営の会社に応募する場合は記載しなくても問題はありません。
採用担当者名
採用担当者の名前がわかる場合、「Dear Mr. John Smith」や「Dear Ms. Jennifer Green」など個人名を記載します。
しかし、担当者の名前が「Jamie」や「Sky」などで性別を推測できない時は、「Dear Mr./Ms. Jamie Brown」のように、敬称を「/」で区切って使うケースもあります。
また、採用担当者の名前がわからない場合、「Dear Hiring Manager」でOKです。
「Dear Sir/Madam」や「To Whom It May Concern」を使うと説明されることもありますが、もう数年前から「古い表現」「時代遅れ」と言われています。
件名
「RE:」は「主題・件名」「〜について」という表現で、英文メールなどでよく使われるのを見たことがある人も多いでしょう。
「RE:」の後には、応募したいポジションを入れましょう。
※件名の記載は、特に書式を指定されていなかったり、型にはまったスタイルが必要と想定されない場合はなくても問題ありません。
本文
カバーレターの本文には、主に下記の内容を記載します。
- 応募する職種と会社名、応募の経緯を記載する
- 志望動機や職種に相応しいことをアピール
- 締めの文章と感謝を伝える
■応募する職種と会社名、応募の経緯を記載する
最初の段落では、応募する職種と会社名・応募の経緯を記載します。
採用担当者に挨拶の文章を書いた後、自分の名前と応募するポジションを述べ、どのようにそのポジションを見つけたのかを説明し、その後の文章で、
- なぜこの求人に応募しようと思ったのか
- 自分はなぜこのポジションにふさわしいのか
- このポジションがなぜ重要だと思うのか
など、その仕事に対する熱意を伝えます。
■経験・スキル・実績
2段落目の最初の文章は、スキルについての紹介です。
これまでの職務経験やボランティア活動・スキル向上のためのコースなどのから得たものと、そこから何を学んだのかということを書いていきます。
また、実績は具体的な数字で書き、受賞歴などがあればどのような貢献ができるかを関連付けて書いたり、「自分なら何をもたらすことができると思ったのか」を実際に自分が働いていることをイメージして書けると尚良しです。
■志望動機や職種に相応しいことをアピール
次の段落では、あなたがその職務に最適な候補者である理由を説明します。
応募する会社のウェブサイトから企業研究を行い、その会社で働きたいと思う情熱が反映されている点や詳細について言及すると説得力があります。
また、その職務についてより深く学ぼうとする献身的な姿勢や、そのポジションで新たなスキルを身につけようとする意欲を説明することも効果的です。
■締めの文章と感謝を伝える
最後の段落では、応募するポジションに対する熱意をもう一度説明します。
応募書類に目を通してくれたことに感謝し、面接を申し込むお願いと、近日中に連絡が来ることを楽しみにしている旨を記載しましょう。
結びの言葉
カバーレターで使われる結びの言葉は、「宛名」に合わせて書きます。
書き出しの宛名の部分で「Dear Hiring Manager」と書いたなら、
「Sincerely,」
「Sincerely Your,」
「Your Sincerely,」
といった文言で問題ありません。
宛名の古い例「Dear Sir and Madam」「To Whom It May Concern」を使った場合は、「Yours Faithfully」を使いましょう。
「Best Regards」や「Kind Regards」はちょっと古くなりつつある言葉です。結びの言葉にも再申請があるので、今の主流の文言を使ってください。
転職エージェント利用時はカバーレターを2つを用意する
これは私の友人情報ですが、転職エージェントやリクルーターを利用して仕事探しをする場合、
- どこの会社に送っても通用する一般的なカバーレター
- 特定の会社への応募用カバーレター
の2種類を用意し、状況に応じて使い分けると効果的です。
とくに応募職種が決まっている時は、「自己PR・過去の経験・実績・スキル」などを大きく書き換える必要はないと思うので、一度文章を作ってしまったらあまり修正する必要がないと思います。
もちろん、カバーレターを作成するときは紹介された求人を見てそれぞれに用意することが前提ですが、一般的なカバーレターを用意しておくと、場合によっては英語ネイティブのリクルーターが応募先の会社に合わせて書き換えてくれることもあるようです。
カバーレターがいらないケース
現地企業のフルタイムポジションなどでしっかり働きたい時、カバーレターは履歴書以上に重要視されるので、用意することが前提です。
しかし、下記のようなワーホリでもできる簡単な仕事なら、カバーレターはいらないことの方が多くなります。
- カフェやレストランなどカジュアルな飲食店
- クリーナーなどの清掃業
- ファームジョブ
- 工場や倉庫スタッフ
- 個人が募集しているベビーシッター・ナニー
など…
また、履歴書を配る場合や店頭に求人張り紙を見て応募する時なども、カバーレターがなくても面接に繋がることがあります。
しかし、「どうしてもここで働きたい」というこだわりのカフェや有名レストランの場合は、カバーレターを用意した方がやる気が伝わるのでいいかもしれません。
実際あったカバーレターの書き方失敗例
それではここから、私が働いていた現地の会社に送られてきたカバーレターの中で、実際にあった失敗例をもとに、注意点を紹介します。
- 短縮系は使わない
- フォーマルな表現を使う
- コピペするなら固有名詞は必ず直す
1.短縮系は使わない
カバーレターの書き出しで「I am writing to apply for…」という表現を使うのは一般的ですが、「I am」の部分を「I’m」という短縮した書き方はNGです。
カバーレターでも履歴書でもそうですが、フォーマルな文章を書くときには、すべて「単語」「単語」で書かなければいけません。
- I’m → I am
- can’t → cannot
- don’t → do not
2.フォーマルな表現を使う
先ほどの項目で、「I’m」と短縮はしてはいけないと述べましたが、それならば結びの文章で「I am looking forward to hearing from you」と使うのはOKのように思えるかもしれません。
しかし、実はこれもNG表現です。
正しくは「I look forward to hearing from you」という、「主語+動詞の原形」の文法を使って書き出すことが必要になります。
また、「Looking forward to hearing from you」と動詞のing形の書き方も避けた方が無難でしょう。
3.コピペは必ず直す
以前送られてきたカバーレターで、
「I am writing to apply for the ○○ position at your association」
と書かれていたカバーレターがありました。
この「at your association」という表現は、サンプルの例として使われているだけなので、your associationの部分は「at ABC company」のように、応募する会社名に書き換えなければいけません。
カバーレターを作り慣れていない頃はコピペを利用すると思いますが、コピペの形跡が残らないよう忘れずに修正しましょう!
カバーレターは採用担当者の心を掴むための最初のアプローチ
カバーレターは、「履歴書に目を通すか?」を判断するために重要な応募書類です。
しっかりと作り込み、英語ネイティブに誤字脱字や不適切な表現を直してもらって、自分の魅力を目いっぱい伝えられるものになるよう、磨き上げていきましょう!