ニュージーランドワーホリの準備をしていると、
ワーホリの仕事はレストランやアルバイトだけ…
ニュージーランドワーホリでは稼げない…
といった話を耳にすることがあります。
確かに、ワーホリビザで海外に渡航し、日本と同じ職種の仕事を見つけたり、日本と同じ水準のお給料を稼ぐことは簡単ではありません。
ですが、社会人経験のある人がしっかり準備をすれば不可能ではないと思います。
週休3~4日、月に1〜2回は小旅行で有給休暇を取得でき、ワークライフバランスが整った仕事をしながら半年で200万円稼げたので、私の職歴史上最高の仕事だったと言っても過言ではありません。
また、ニュージーランドワーホリの経験は、帰国後のインターナショナルスクール勤務に繋がったきっかけの一つでもあります。
そこでこのページでは、
- ニュージーランドの最低時給
- ニュージーランドワーホリ時代の給料/月収
- ワーホリでもできる「受付」のデスクワーク体験談
- ニュージーランドワーホリで稼ぐ&貯金するために必要なこと
- ニュージーランドワーホリで稼げないケース
についてお話しします。
目次
ニュージーランドの最低時給
ニュージーランドの最低時給は、2023年4月1日時点で$22.70です。
$1=100円の単純計算で、約2,270円となります。
The current minimum wage rates (before tax) are as at 1 April 2023. They apply to employees aged 16 years or over.
Type of minimum wage Per hour 8 hour day 40 hour week 80 hour fortnight Adult $22.70 $181.60 $908 $1,816 Starting-out $18.16 $145.28 $726.40 $1,452.80 Training $18.16 $145.28 $726.40 $1,452.80
隣国のオーストラリアと同水準で、最低賃金の高さは世界的に見てもトップクラスです。
しかしその反面、家賃や物価も高くなっています。
ニュージーランドワーホリ時代の給料/月収
私がニュージーランドワーホリ時代に見つけた仕事は、リラクゼーションスパでのフルタイムのフロントデスク(受付)の仕事ですが、基本的にはパソコンに向かって仕事をするデスクワークです。
月収にすると開きがあり、NZD$3,200~4,200(1ドル100円計算で約32万円~約42万円)をうろうろしていました。
勤務日数と給料の目安としては、
通常期:週休3~4日・希望休多め・売上がよくない時は約32~約35万円前後
繁忙期:週休2~3日・有給休暇取得・インセンティブが多いと約40~43万円前後
といった感じです。
スパ受付で1年間働いた場合の想定年収がNZD$38,000~48,000(約380万円~480万円)なので、ワーホリの私にも、年収NZD$14,001~48,000(約140万~480万円)の労働者に適用される税率17.5%が適用となっていました。
そのため、毎月の総支給額から税率17.5%を会社が引き、残りの金額が手取りとして口座に振り込まれます。
もちろん、納めすぎた税金は「Tax return(タックスリターン)」で取り戻すことが可能です。
【仕事内容】一般的な「受付」と「スパ受付」の違い
まずは前提として、スパの受付の仕事は、一般企業の受付の仕事とは異なります。
一般企業の受付の仕事は、
- 総合受付で訪問者の対応
- 代表電話の対応と取次ぎ
- 来客予定者の情報管理やデータ入力
- 代表メールアドレスに受信したメールへの返信や転送
- 受付エリアのメンテナンス
- ファイリング、郵便の振り分け、書類のコピー
- その他庶務…
といったものが主な業務となり、イメージとしては「会社の綜合窓口」「会社の顔」的な役割です。
職業レベルとしては「エントリーレベル」とされています。
勤務日は平日の月曜~金曜の週5日が基本で、土日祝日は休み。
一方で、スパやサロン系の受付はサービス業なので、土・日・祝日は稼ぎ時。出勤日はシフト制です。
希望休を使って週3日勤務にできる時もあり、比較的融通が利きますが、他の受付スタッフが休暇を取ったり体調不良で急遽出勤になると、週6日勤務になることもあります。
また、私が働いていたスパでは、お店を1人で回すため、施術以外の仕事はほとんどやりました。
ですが基本はデスクワークなので、パソコンに向かって仕事をすることができます。
- 予約の受付と顧客データの管理
- 日々の売り上げ管理と報告
- メンバーシップ制度のセールスと新規入会手続き
- プロモーション等のマーケティング
- 欠員補充の対応とスタッフの移動手配
- 電話・メール・ウォークインのお客様対応
- 苦情受付
- その他の施術以外の仕事は全部…
簡単に一言でまとめると「お店の運営全般・マネジメント」が業務内容となり、エントリーレベルの受付の仕事でラクに稼げると思っていたのですが、全然そんなことありませんでした。
【スパ受付のデスクワーク】一日の仕事の流れ
美容室やサロン系のお店は、予約枠が15分刻み・30分刻みと細かく設定されていることが一般的です。
一方で、私が働いていたリラクゼーションスパは、1時間刻みで予約枠が設定されていました。
【午前】10:00台・11:00台・12:00台・13:00台
【午後】15:00台・16:00台・17:00台・18:00台
その日のお客様の予約状況を見ながら、いつ・どこで・どの業務をやるか、ある程度の予定を立てて1日の勤務スタートです。
9:30 出勤・朝食・開店準備
会社に到着して1番最初にやることは、朝食を食べること。
日本の企業ではあまり考えられませんが、海外のオフィスや職場環境では、会社で朝食を食べることが普通にあります。
ただし、受付の仕事はお客さんの前に出る仕事なので、朝食を食べるのは勤務開始前です。
私はバタバタしながら仕事を始めるのが嫌いなので、コーヒーを飲んだり朝食をぼちぼち食べながら開店準備の一連の流れをこなしていました。
先輩レセプショニストの方々は、勤務開始時刻ギリギリに出勤します。
9:45 受付デスクにスタンバイ
開店15分の9:45になると、お給料が発生します。
朝一の予約のお客さんを迎えられるよう受付デスクにスタンバイし、デスクワークが始まります。
- パソコンやレジの立ち上げ
- 留守電の解除
- 前日の閉店以降の留守電を確認
- 予約表を整える
- 当日の予約枠を調整
- 朝一のお客様の支払い手続き準備
といった準備が整ったら、お店の鍵を開けてオープンです。
10:00 開店
リラクゼーションスパは、ヒーリング音楽が流れるゆっくりと落ち着いた職場環境…と思われがちですが、開店直後は当日の施術枠を予約するための電話が一気にかかってきます。
とくに週末は、
- 1件電話で話している間に2~3件の留守電が入る
- ホームページからも予約メールが飛んでくる
など、慌ただしい時間となるのです。
また、セラピストの指名があると、予約表を組む作業がテトリス状態になります。
レセプショニストとして一番気を付けなければいけないことは、ダブルブッキングをしないことです。
10:30 ~ 13:30 PCでの仕事を終わらせる時間
10:30ぐらいになると、予約電話が一旦落ち着きます。
午前中に済ませることは、
- 当日来店予定の常連客のメンバーシップアカウント管理
- オンラインで注文があったバウチャーの発行
- 注文があった商品の郵送物の準備
といった、当日中に完了させたい業務が中心です。
もちろんその間にも、11:00台・12:00台・13:00台のお客さんや、バウチャーを購入するお客さんが出入りします。
13:30 ~ 14:00 ランチタイム
私が働いていたリラクゼーションスパは、店舗自体は大きくなかったので、基本的には一人体制での受付業務です。
13:30のお客様を入れたタイミングでランチタイムとなりますが、休憩中にウォークインのお客様が来たり、電話が鳴ることも日常茶飯時なので、長時間デスクを空けることができません。
そのため、休憩時間もお給料が発生するシステムでした。
受付デスクを離れるときは、店頭ドアに「We will be back at ○時○分」のボードを掛けて施錠。
予約状況によってはスタッフルームで食べれることもありますが、週末は受付デスク(またはデスク裏)で見られないようにこっそり食べることが定番でした。
15:00 後半戦スタート
午後の施術の最初のお客様は、15:00前後に来店。
トリートメントルームへ案内が終わったら、
- 予備の発送用封筒の補充
- 在庫の確認と発注
- 他店との連絡業務
などの庶務業務をスキマ時間でこなしながら、午後のお客様対応をします。
17:20 閉店準備
本来の閉店時間は18:30ですが、17:20の時点で18:00台の予約が入っていない場合、30分前倒しで業務終了となります。
その日の最終のお客様が入ったら、
- 金庫に入っている現金の確認
- 売り上げの入力・報告
- 翌日出勤のレセプショニストへの引継ぎ事項のまとめ
- 最終メールチェック
- 店内の清掃
- 勤怠入力
といった閉店準備を進めます。
18:00 閉店
日本では、閉店後に清掃や事務作業をする時間がありますが、私が働いていたスパでは「閉店時間=退勤時間」でした(※最後のお客様のお見送りは、担当セラピストのお仕事)。
残業はNGで、事務作業は勤務時間内に片付けることが基本です。
とは言え、繁忙期になると業務が追い付かないこともあるため、どうしてもできなかった事務作業は翌日出勤のレセプショニスへ引き継ぎます。
売り上げに繋がるお客様対応をして勤務時間をオーバーした場合は、勤怠入力の際に理由を記載すればお給料をいただけるので、サービス残業はありません。
何事もなければ、留守電をセットして、ドアを施錠し退勤です。
「スパ受付」のメリット・デメリット
サービス業である「スパ受付」の仕事は、一般企業の受付とは違い、不便なところや大変なことが多々あります。
- 土日に仕事がある
- 業務内容が多岐にわたる
- 体調を崩しても出勤を代わってくれる人がいない
しかしその一方で、
- 店舗運営に携わったりマネジメントの経験が積める
- セールスをして新規顧客を獲得したらインセンティブが入る
- インセンティブの種類が5種類あり、モチベーションが上がる
- お客様の入りが少ないときは落ち着いて働ける
- 帰国後の就職にも繋げることができる
といったメリットも享受できる点は魅力です。
スパやサロン系の仕事では、リピーターや固定客をいかに確保するかがビジネスの鍵となります。基本的にセラピストは「施術専門」のため、それ以外の「運営」に関わる部分はレセプションが兼任していることがあります。
ニュージーランドワーホリで稼ぐ&貯金するために必要なこと
ニュージーランドワーホリで稼ぐ&貯金するために必要なことは、以下のようなものがあります。
- 事前に英語力を上げておく
- ワーホリビザの期間を存分に残した状態で仕事を探す
- ローカルカンパニー(現地法人)で働く
- シェアハウスの家賃や生活費を抑える
1.事前に英語力を上げておく
ニュージーランドワーホリで稼ぐためには、事前に英語力を上げておくことがポイントです。
ワーホリに行く人は、英語ができないままでも「海外に行けばなんとかなる」と思って渡航する人もいます。
ですが、英語ができると日本人雇用主のもとでも現地の雇用主のもとでも働けるので、選択肢を広げるために英語力を上げておいて損はないです。
2.ワーホリビザの期限を存分に残した状態で仕事を探す
ワーホリでいい仕事を見つけるために、ワーホリビザの残存期間を出来るだけ長く残しておくというコツがあります。
ワーホリビザの残存期間によって、採用・不採用が左右されることがあるため、
- 学校に通うのは学生ビザ
- 旅をするのは観光ビザ
と使い分けた方がいい場合もあるのです。
3.ローカルカンパニー(現地法人)で働く
ローカルカンパニー(現地法人)の時給や給料は、日本人雇用主の仕事に比べると若干高い傾向があります。
また、フルタイムの雇用なら、永住権保持者や現地の平社員と同じ待遇なので、福利厚生・有給休暇・手当が発生する点もしっかりしていてメリットです。
また、以下は私が感じたことですが、ローカルカンパニーの雇用主は「スタッフに気持ちよく(ハッピーに)働いてもらいたい」という考えの人が多く、小さい(少ない)ながらも制度に反映されていると感じました。
4.シェアハウスの家賃や生活費を抑える
私のニュージーランドワーホリでの月収は、NZD$3,500~4,200(1ドル100円計算で約35万円~約42万円)なので、「めちゃめちゃいい!」とは言い切れません。
ですが、仕事を始めて7ヶ月後、ニュージーランドの銀行口座の残高が1万ドル(1ドル100円の計算で100万円)になりました。
達成できた理由は、シェアハウスの家賃や生活費が安かったことも関係していると思います。
稼ぐためには収入を増やすことが大切ですが、貯金をするためには支出を抑えることも必要です。
- 家賃4週間:$680
- 食費4週間:$160~200
- 携帯代1ヶ月:$10
- 交通費1ヶ月:$100~120
- 雑費:$50~100
- 旅行代:$100~200(時々$1,000)
ニュージーランドワーホリで稼げないケース
ニュージーランドワーホリでよくある「稼げないケース」を紹介します。
- 日本人雇用主の元で働いている
- 勤務時間が短いパートタイムの仕事
- 会計年度を跨がずに収入を得て税率が上がっている
- 仕事を掛け持ちしている
1.日本人雇用主の元で働いている
英語ができない外国人やワーホリの足元を見る雇用主の存在は、国籍問わずどの人種にも共通します。
しかし、日本人雇用主の傾向として、時給(給料)も福利厚生も「最低限」であることが特徴的です。
もちろん、「スタッフにハッピーに働いてもらいたい」という気持ちはあると思いますが、対価や福利厚生で還元する余裕がない部分は否定できません。
2.勤務時間が短いパートタイムの仕事
ワーホリの仕事には、1日3時間~・ランチタイムだけ・ディナータイムだけといった、勤務時間が短いパートタイムの仕事の求人がたくさんあります。
1日7~8時間、1つの仕事でまとまったお金を稼げる仕事の求人が少なく、あったとしても競争が激しいので、手に入れることは簡単ではありません。
3.会計年度を跨がずに稼いで税率が上がっている
ニュージーランドの会計年度は、4月1日~3月31日です。
そして税率は、年収0~14,000ドルまでが10.5%、14,001~48,000ドルまでは17.5%が適用になります。
例えば、1年間で$20,000稼ぐ場合、会計年度内の4月~3月の収入なら税率は17.5%となります。
ですが、10月にニュージーランドに入国し、10月~3月の収入が$10,000、4月~9月の収入が$10,000なら、会計年度を跨ぐことになるので、合計$20,000の収入でも10.5%に抑えることが可能です。
4.仕事を掛け持ちしている
勤務時間が短かったり、シフトがもらえない場合、仕事を掛け持ちすることも選択肢の一つ。
ですが、仕事を掛け持ちすることで年収が上がると、税率が上がる可能性があります。
2つ目の仕事の税率が何%になるかは各々の状況によって異なりますが、与えられたタックスコードから確認することができます。
ワーホリでも可能性がある受付の仕事(デスクワーク)
海外の日本語求人サイト(クラシファイド)でよく見かける受付の求人や、ワーホリでも可能性がある受付の仕事(デスクワーク)を紹介します。
- 美容室の受付
- 語学学校の受付
- 一般企業の受付
- ホテル・ゲストハウス・バッパー・ホステルの受付
1.美容室の受付(レセプショニスト)
美容室の受付(レセプショニスト)の仕事は、日本語の求人情報サイトでよく見かける求人の中でも定番です。
日本人経営の美容室を利用するお客様は日本人が多いため、ワーホリでもチャレンジできます。
また、日本人の美容師さんは、英語レベルよりもスキル重視なため、英語力が満足でないことも…。
そのため、日本人スタッフとは日本語で、お客様とは英語でコミュニケーションが取れるレセプショニスを募集しています。
英語力は、IELTS 5.5(TOIEC600点)以上が目安です。
2.語学学校の受付(レセプショニスト)
都市部にある語学学校の受付(レセプショニスト)の求人は、あまり出てくることがありません。
理由としては、
- 卒業生が雇用されている
- 履歴書を配りに来る人が何人もいる
- 無給インターンでまかなえる
など様々です。
しかし、街はずれや田舎にある語学学校では、受付スタッフを募集していることがあります。
受付の仕事だけではなく、「スチューデント・サービス・オフィサー」のポジションでデスクワークの可能性もあるので、仕事を探す際は絶対に求人を見逃さないことがポイントです。
英語力は、IELTS 6.0(TOIEC750点)以上が最低ラインとなります。
3.一般企業の受付(レセプショニスト)
現地法人の一般企業の受付(レセプショニスト)は、英語版の求人情報サイト(クラシファイド)でよく見かけます。
また、転職エージェントを通して応募することも可能です。
英語力の基準が書いてある求人はほとんどありませんが、面接中に1つでも意味がわからない単語があった場合は不採用とオーナーが話していました。
日系企業の受付の求人はあまり見た記憶がありませんが、ある場合は現地法人よりもハードルが下がると思います。
4.ホテル・ゲストハウス・バッパー・ホステルの受付
宿泊施設の受付(レセプショニスト)の仕事は、
- ホテル
- ゲストハウス
- バッパー(バックパッカーズの略)
- ホステル
といったアコモデーションで需要があります。
ホテルのフロントデスクの仕事を海外でやる場合、高い英語力と過去の経験が求められるケースが多い印象です。
目安の英語力はありますが、それよりも、英語でお客様対応をしながら先輩スタッフの英語の指示を聞き取るスキルが求められます。
有給インターンを利用して応募することも可能ですが、都市部の有名ホテル・リゾート地の人気のホテル・大型ホテルでの勤務では、経験者じゃないと採用されないことも…。
また、ホテルの受付(フロントデスク)は基本立ち仕事になります。
しかし、「ゲストハウス・バッパー・ホステル」の受付だと、カウンター内でのデスクワークが業務の中に含まれています。
ただし、小さな宿泊施設ではデスクワーク以外の「リネンの交換」「清掃」などの業務にも幅広く対応しなければいけません。
注意点としては、給料が出ない代わりに食事とアコモデーションを提供する「エクスチェンジ」の募集が出ていることもあるため、求人広告をよく読むことが大切です。
ワーホリでデスクワークをすると帰国後の就職につながる
一般的なデスクワークをイメージすると、
- 企業の事務職員
- オフィスワーカー
といったものが浮かんでくるかと思います。
ワーホリ中に現地法人でのオフィスワークはハードルが高いかもしれませんが、受付でのデスクワークを経験している人は案外いるので、運とタイミングが合えば可能性はゼロではありません。
海外でのデスクワークの仕事は、日本に帰国後に存分に活かすことが可能です。