海外で残業は迷惑でNG?日本の残業文化と海外のワークライフバランスの違い

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日本でもワークライフバランスが注目されるようになった現在ですが、まだまだサービス残業や勤務時間の改ざんがなくならない企業が存在します。

しかし海外では、定時を過ぎても会社に残っていると、早く退勤するよう上司や先輩から注意されることがほとんどです。

チファニ
私はこれまで、オーストラリア・カナダ・ニュージーランドの現地法人で働いてきましたが、残業しているとPCスクリーンの電源を切られるなど、いい意味で強制的に退勤を促されました。

また、たった20分の残業や月に2回程度の残業でも、「なぜここで残業が発生しているの?」とマネージャーに注意されるほど、残業に対してはシビアなこともあります。

しかし理由を聞くと、納得できる裏側があったのです。

そこでこのページでは、「海外で残業をすることが迷惑な理由」と日本の残業文化と海外のワークライフバランスの違いについてお話しします。

海外で残業が迷惑でNGな理由3選

まずは、海外で残業が迷惑でNGな理由をお伝えします。

海外で残業が迷惑でNGな理由
  1. 売り上げが上がっていないなら、残業は会社にとって人件費の無駄
  2. 自分が残ることで他の人に迷惑がかかる
  3. 残業してるのに自分の以外の仕事に対応しなければならず非効率

1.売り上げが上がっていないなら残業は会社にとって人件費の無駄

私が働いていたニュージーランドのスパでは、月に2回程度の20分の残業でも厳しく管理されていました。

海外ではサービス残業の文化がなく、基本的に働いた分は残業として申請してもOKです。

日本と同じ感覚で、終業時間ギリギリまで自分が片づけられそうな仕事には手を付け、閉店間際にかかってきた電話にも対応していました。

そのせいで退勤時間が20分オーバーになってしまうこともあったのですが、残業を申請する私の勤務表を見たマネージャーから、「なんで定時に帰れないの?」と注意が入ったのです。

残業をした日に共通していたことは、閉店間際に売り上げも上がっておらず、予約のお客さんもおらず、予約や問い合わせ電話の着信履歴もなかった点でした。

私が勤めていたスパは、売り上げに繋がらない事務処理での残業は「人件費の無駄」という考え方です。

逆に残業しても認められるのは、

  • 飛び込みで施術希望のお客さんが来店した
  • 閉店間際にお客さんが来店して商品を購入してくれた
  • 電話で翌日の予約が入った

といった、売上に結び付く業務のための残業です。

また、その場合は着信履歴と予約の電話番号を照らし合わせたり、レシートの発行時刻で証明する必要があります。

残業することによって割増しの人件費が発生することは、経営者にとっては迷惑と捉えられるのです。

そういう理由からその職場では、

  • 閉店時間15分前からは電話に出なくていい!
  • メールが残っていても未読のまま翌日の担当スタッフに回す

という取り組みがあり、日本で長時間労働をしてきた私からするとワークライフバランスが整った職場でした。

補足
海外で日本的な労働文化・サービス残業・違法労働をさせるブラック企業は、従業員がら政府へのタレコミで摘発され、それがきっかけで潰れた日本人経営の企業も少なくありません。

 

2.残業することで他の人に迷惑がかかる

自分が残業することによって他人に迷惑がかかることを学んだのは、カナダの語学学校で働いていた時のことです。

生徒の対応が長引き閉館時間を過ぎてしまったのですが、この時に迷惑をかけてしまったのは最後に施錠をしなければならない同僚。

私が残業したことによって玄関の施錠ができず、後片付けが終わるまで待たせてしまう事態となりました。

残業をすることによって迷惑をかける相手がいる状況は、残業することが感謝される24時間営業の職場や、夜中まで電気がついているオフィスでは、あまり経験することがないかもしれません。

チファニ
私は、他人に迷惑をかけて初めて、残業することの罪悪感を感じました。

また、働く国の文化によっては、残業することで周りのスタッフにプレッシャーを与えてしまうこともあるようです。

 

3.残業してるのに自分の以外の仕事に対応しなければならず非効率

私がオーストラリアの語学学校で働いていた頃、オフィスで残業をしていたら声をかけられて他の業務にも対応しなければいけなくなった状況がよくありました。

オフィスの営業時間が終了後、ドアを閉めて姿が見えないように残業していても、部屋の窓からチラリと見える私の姿を見かけて生徒に呼び鈴を鳴らされたり、留学生からヘルプを頼まれるとNOとは言えません。

自分の仕事が残っているから残業をしているのに、結局自分の仕事には集中できず、仕事を持ち帰る羽目になったことが何度かありました。

その時に学んだことは、残業をすると逆に非効率になるということです。

残業しても残業しなくても、結局仕事を持ち帰るなら、同僚が退勤する時間に合わせてさっさと帰る方が仕事に集中できる時間を確保できます。

補足
海外は基本的にワークライフバランスが整っている職場環境が多いですが、当時の私は無給インターンからマーケターに昇格したばかりの駆け出しだったので、業務が追い付かず仕事を持ち帰っていました。

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残業をして感謝されるのは日本だけ

私はこれまで、

  • 海外3ヶ国の現地法人
  • ガチガチの日系企業
  • 世界展開している外資系企業

で働き、現在は世界展開している日本資本のグローバル企業の制作チームに所属していますが、基本的に残業をして感謝されるのは日本(日本人上司)だけです。

とくに売り上げを上げなければいけないフロントポジションは体育会系の人が多かったり、メンタルもフィジカルも強くてハードワークな人も多いため、同じように働くことを求められる傾向があったように感じます。

また日本企業はチームで何かを達成するような「チームワーク」を求められる働き方も多いせいか、個人のタスクが完了しても退勤できないことも…。

もちろん、海外でも「チーム」で達成しなければいけない働き方もありますが、同じ職種でも「日本」「海外」という違いで働く文化が変わることが前提です。

 

海外でワークライフバランスが実現できる理由

海外には、ワークライフバランスが実現できる理由があります。

海外でワークライフバランスが実現できる理由
  1. 労働者同士が「休むこと」に理解がある
  2. 担当者が休みに入ると締め切りが延びる
  3. 忖度が通用しない

1.労働者同士が「休むこと」に理解がある

近年、日本でもワークライフバランスが提唱されるようになりましたが、実際の現場では「海外のワークライフバランスには程遠い」という印象があります。

その理由は、労働者同士が「休むこと」に理解があるかの違いです。

日本の労働環境で驚いたことは、時短勤務をしている正社員男性や取引先の男性担当者に対して「は、仕事終わってないのに帰るってどういうこと?」という声がまだまだ聞こえてくる点です。

時短勤務をしているのは女性社員の方が多いという背景もありますが、その一方で、子育てや家事の負担はまだ女性の方が大きく、ジェンダーに対する不平等の矛先が「正社員男性が休むことへの不満」に向いている可能性もあると感じました。

逆に海外では、男性よりも女性の収入が多いカップルも珍しくなく、男性が時短勤務で子供を迎えに行ったり、夕食作りや家事をしたり、子どもの習い事の送り迎えをしている家庭も普通にあります。

また女性にとっても、家事を一切しない2ヶ月のバカンスを取ることが素晴らしいこととされています。

海外でワークライフバランスが実現できるのは、性別にかかわらず「休暇を取ること」「休むこと」に対して、労働者同士で理解があるからという理由が一番大きいと感じます。

 

2.担当者が休みに入ると締め切りが延びる

担当者が中~長期の休暇を取り休みに入ると、「締め切りが延びる」という現象が起こります。

そうなった場合、海外では諦めるしかありません。

日本では、なんとか締め切りに間に合うよう、休みの担当者になんとか連絡を取ることを試みたり、他の人に尽力を求めることもありますが、この「諦めるか」「休みの担当者に連絡がつくよう尽力するか」の違いがワークライフバランスの違いです。

チファニ
海外では、担当者が休みに入ってしまったら諦めることの方が多いので、締め切りを延ばずしかありません。

 

3.忖度や無理な要求が通用しない

日本の労働文化では、得意先の意向を忖度して取り計らう場面もよくありますよね。

海外でも日本人同士で仕事をしていると、取引先に「今目の前にお客様がいるので今対応してください」と少し無理を言われることもありますが、日本の文化では手を尽くして対応することが良しとされます。

しかしこれが「外国人同士」になると、文化や価値観が違う人同士で仕事をすることになるため、通用しません。

チファニ
私が今所属している企業のチームには日本語が上手な外国人スタッフもいますが、相手の気持ちを推し量っても伝わらないため逆に無駄ということを学びました。

日本人同士なら伝わることが、相手が外国人になるだけで「それはできないよ、Sorry、僕にどうしろって言うんだい?」で終わってしまう…。

しかし、世界基準の「物事がスムーズに進まないことへの寛容性」を身に付けることがワークライフバランスを実現させるために必要ではないかと思うのです。

 

残業が多い会社は離職率も高い

私がこれまで働いてきた会社の中には、慢性的に残業が多いことで新入社員の早期離職率が高くなり、人材が定着しない問題を抱えていた企業が複数ありました。

それらの会社に共通していたことは、5年以内に部署内の人材がほぼ入れ替わった点です。

最終的に「事業売却」という形で他の人の手に渡った事業主もいます。

近年、少子化や人材不足が叫ばれている中で、若手人材の海外流出が加速したり、短期離職で職歴不安の20代や元フリーター・ニートの若手をポテンシャル採用をする優良企業に人が流れる傾向も見えてきました。

企業の中枢を担う世代が変わってきたことで、これまで人が飛ぶ(バックレる)ことがなかった企業なのに、人材の早期離職が起こり始めて運営基盤がぐらつき始めた中小企業もあります。

在宅勤務やリモートワークなど働き方の多様化で、古い体質の企業が選ばれなくなったり、人材を酷使する企業が生き残れない時代が来るのもそう遠くないかもしれません。

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