海外での就職活動中によくある、「求人に応募しても返事が来ない」という状況。
日本の転職活動では、書類選考を受けた時点で通過か見送りかがわかるケースが多いですが、海外では1つの求人に200~400件も応募があるため、不採用通知はほぼ来ません。
履歴書を送付するためのメールすら読まれないことがあり、面接官からは「履歴書を100通送ってどこからも返事が来なかったら初めて落ち込んでいい」と言われるほどです。
決して簡単とは言えない海外での仕事探しを成功させるため、このページでは、海外4ヶ国の就職活動(転職活動)で履歴書を作成するときにアドバイスされたこと・ダメ出しされたこと・失敗したことなどの経験をもとに、面接に繋げるための英文レジュメ(履歴書)の書き方を紹介します。
目次
英文履歴書作成の第一歩は担当者に「よんでもらうこと」!
履歴書は英語で「Resume(レジュメ)」や「CV(シーブイ)」と言います。
日本語の履歴書のようなフォーマットはなく、作り方はシンプルです。
仕事探しが日本よりも難しい英語圏やグローバル環境では、採用担当者が履歴書をパッと見て「読みたくない」と思ったら読まれません。
そこでまずは、採用担当者に「履歴書を読んでもらうこと」、そして「面接に呼んでもらうこと」を意識し、
- 自分を採用するメリットを簡潔に記載する
- わかりやすく経歴や実績・活動内容を伝える
- 無駄な情報は一切記載しない
といった点に注意して作成することが重要です。
【英文履歴書の基本】応募先に合わせてレジュメ/CVを作成する
海外の就職活動では、応募する会社やポジションに合わせて履歴書を作成する必要があります。
日本語の履歴書のように使いまわしはせず、求人広告に書かれている、
- 会社が求める人物像
- 募集しているポジションにふさわしいスキルと経験
などの項目に合わせて、不要な職歴や経験の削除が必要となるケースがあります。
そのくらい、応募先のポジションや職務に合わせて英文履歴書を作成することが重要視されているのです。
【英文レジュメ/CV】面接に繋がる英文履歴書の書き方
英文履歴書の作成に必要な項目は、以下の順で書いていきます。
- Personal Information(個人情報)
- Objective(希望職種)
- Summary of Qualification(スキル・経験・資格)
- Work Experience(職歴)
- Education(学歴)
- Skill(スキル・資格)
- Language(言語)
- Reference (リファレンス)
1.Personal Information(個人情報)
英文履歴書に書く個人情報は、「氏名、住所、電話番号、メールアドレス」です。
名前は一番上に、中央揃えで配置します。
「性別・国籍・生年月日・配偶者の有無」といった個人情報は、国によっては差別に繋がる可能性もあるため書く必要がなく、写真の添付も不要です。
2.Objective(希望職種)
個人情報の下には、「Objective(希望職種)」を記載するケースがあります。
応募メールへの記載例↓
3.Summary of Qualification(スキル・経験・資格)
英文履歴書の「Summary of Qualification(サマリー)」を書く時は、求人募集に書かれていたキーワードを使うことが良しとされています。
例えば求人募集には、「Requirements(リクワイヤメント)」と呼ばれる個所があり、求めている人物像が書かれた項目です。
- 3 years marketing experience (Work Experience in ESL school is an asset)
- Strong communication and interpersonal skills.
- Strong team work spirit: Effectively work in a team environment to achieve individual and departmental objectives
日本語に訳すと、
- 3年のマーケティング経験がある人(語学学校での職歴があれば尚良い)
- 優れたコミュニケーション力と対人関係力がある人
- 個人・部門での目標達成のためにチームで働ける人
なので、この学校が欲しい人物を私の例に置き換えると、以下のようになります。
- Over 3 years of experience in Sales/Marketing and Education.
(営業・マーケティングと教育業界での3年以上の経験) - Excellent communication and interpersonal skills.
(優れたコミュニケーション能力と対人関係スキル) - Provide honest, reliable and competent service to my employer, my employer’s clients and team members
(雇用主・取引先・チームメンバーへの正直で信頼のある確かなサービスをもたらします)
業界経験を記載するときは、経験年数が5年・6年・7年だったとしても、求人票に書かれている数字が「3年」の場合は、サマリーでも「3年以上」という表現を使うことが良いでしょう。
また、職種ごとの「求められている人物像」はどこの会社でも似ているので、やりたい仕事が決まっているなら、ほとんど修正する必要はないです。
4.Work Experience(職歴)
英文履歴書の職歴欄は、応募先のポジションと関連した会社の「Work Experience(職歴)」をメインに書いていきます。
例えば、教育業界のマーケティングポジションに応募する場合、ショップ店員やレストラン・カフェのフロアスタッフ等の職歴は、業務内容に関連性がないため省いてしまってもOK!
そうすると空白期間ができてしまいますが、私の経験では、海外の現地企業の面接で履歴書の空白期間を聞かれたのは面接担当者が日本人だった時だけです。
日本と海外の両方で転職活動を経験し、
- 日本人の面接官:履歴書の空白期間の確認に時間を要する
- 外国人の面接官:過去の職歴・業務内容・できることの確認に時間を要する
といった違いを感じました。
また、職歴を書く時は以下の注意点があるので気をつけましょう!
- 最新のものから順に書いていく
- 箇条書きで簡潔にわかりやすく
- すでに退職した会社の職歴は動詞の過去形で書き始める
- 現職の職歴は動詞の現在形で書き始める
5.Education(学歴)
英文履歴書で必要なのは、最終学歴のみです。
日本の履歴書のように、高校・大学と2つの学歴を書く必要はありません。
書き方の基本としては、学校名・在籍期間・専攻・学位を2行にまとめましょう!
ワーホリの仕事探しでは履歴書に書くことが少ないこともあるかもしれませんが、仕事を探している国で学校に通い資格(免許)を取ったり、専門学校やカレッジで仕事に繋がるコースを修了した場合は、ここに書いてもいいと思います。
6.Skills(スキル)
ここでは、実務的なスキルを記載します。一般的なのがパソコンスキルです。
オフィスワークやデスクワークをするなら Microsoft Office(Word, Excel, PowerPoint)を使用する機会が増えます。
営業・マーケティング・広報の仕事では、デザインツール(Photoshop, Illustrator)の使用経験が求められるので、どの程度使えるか目安を書くといいですね。
7.Language (言語)
ワーホリで仕事を探す際、レストランやカフェなどホスピタリティ系の求人や、日系企業に応募するときは言語を記載するケースもありますが、現地法人のオフィスワークに応募する際は記載する必要はありません。
英語ができることが必須ですし、低い英語レベルを書くと面接に呼ばれない可能性もありますからね。
英語で面接をすれば英語力がバレますが、ひとまず、書類選考を通過することが優先です。
8.Reference(リファレンス)
海外では、採用を出す前に「リファレンスチェック」が行われることがよくあります。
確認される内容は、社内での仕事ぶりや実績などに相違がないか、コミュニケーションはどうかといった「働き方」を詳しく知るための質問がメインとなります。
リファレンスチェックを依頼する人は、前職の会社の上司が一般的ですが、新卒なら学校の先生・教授などでもOKです。
書き方としては、レフェリーの名前・会社名・ポジション名を書くケースもあれば、「Reference available upon request(リクエストに応じて照会します)」と書くケースの2種類あります。
面接の時点ではリファレンスチェックが必要かはまだ不明なので、「Reference available upon request(リクエストに応じて照会します)」の方が簡潔です。
【英文レジュメ完成】ネイティブに履歴書添削してもらう!
必要となるすべての項目を記載したら、必ずやらなければいけないことは、英語ネイティブによる履歴書添削(誤字・脱字チェック)です。
履歴書添削の際は、
- 表現がおかしい部分はないか?
- もっとふさわしい単語はあるか?
- 意味が通じるか?
といった部分もあわせて確認してもらうよう依頼すると尚良しです。
履歴書の完成形はこうなります↓
英文履歴書作成のポイント
英文履歴書を作成するときは、最低限抑えるポイントがあります。
- 手書きではなくPCで作成する
- 履歴書の用紙はA4サイズ
- 履歴書は用紙1枚に収める(キャリアがある人でも2~3枚以内)
- フォントはTimes New Roman、Centuryなど読みやすいもの
- カラーは使わない(文字色は黒で統一)
- 数字はアラビア数字(One ではなく 1、2、3)を使用する
- 職歴や学歴は新しいものから記載する
- 職歴の内容は動詞アクションハーブで書き始める
- 同じ内容を重複させない(単語・表現・文章)
- 簡潔にわかりやすく
- 求人の内容や職種に合わせて書く
- 不要な情報を書かない
1.手書きではなくPCで作成する
日本の履歴書は手書きで作成することがありますが、英文履歴書は基本PCで作成します。
2.履歴書の用紙はA4サイズ
日本の履歴書はA3サイズですが、英文履歴書の用紙サイズはA4サイズです。
また、見開きにする必要はありません。
3.履歴書は用紙1枚に収める(キャリアがある人でも2~3枚以内)
ワーホリの仕事探しで作成する英文履歴書は、基本的には用紙1枚に納めることが理想的です。
4.フォントはTimes New RomanやCenturyなど読みやすいもの
英文履歴書のフォントは、Times New RomanやCenturyなどのベーシックで読みやすいものが良しとされています。
5.カラーは使わない(文字色は黒で統一)
英文履歴書の文字色は黒で統一(カラーは使わない)が基本です。
近年はカラーの英文履歴書フォーマットが出てきていたり、国によっては「少しカラーを使った方がいい」とアドバイスされることがありますが、私がワーホリ3ヶ国で履歴書添削してもらった時のアドバイスは、
- オーストラリア:文字色は黒、カラーは使わない
- カナダ:文字色は黒、カラーは使わない
- ニュージーランド:少しカラーを使った方がいい
でした。
日本帰国後も英文履歴書を使う可能性もあるので、黒で統一しておけば間違いないでしょう。
6.数字はアラビア数字(One ではなく 1、2、3)を使用する
英文履歴書で使用する数字は、「One, Two, Three 」といった書き方ではなく、アラビア数字の「1、2、3」を使用します。
7.職歴や学歴は新しいものから記載する
日本の履歴書では、古い順に職歴を記載しますが、英文履歴書での職歴や学歴は新しいものから順に記載します。
また、仕事開始の「月」や退職「月」を記載する際は、下記のような3文字で表します。
1月 | Jan (January) |
2月 | Feb (February) |
3月 | Mar (March) |
4月 | Apr (April) |
5月 | May (May) |
6月 | Jun (June) |
7月 | Jul (July) |
8月 | Aug (August) |
9月 | Sep (October) |
10月 | Oct (October) |
11月 | Nov (November) |
12月 | Dec (December) |
8.職歴は「Action Verb(アクションハーブ)」を使用する
英文履歴書では、「I」 や「You」といった主語は用いず、「Action Verb(アクションハーブ)」と呼ばれる業績や活動を伝える時に使う動詞で書き始めます。
簡単に説明すると、
- 「作る」なら「Make」を使わずに「Create」を使う
- 「手に入れる」なら「Get」を使わずに「Obtain」を使う
といったように、単語をアクションバーブに変えるだけでプロフェッショナルな履歴書になり効果的です。
9.同じ内容を重複させない(単語・表現・文章)
英文履歴書の内容は重複させないことが基本です。
同じ単語や表現・文章を繰り返すよりも、様々な表現を使った方がより幅を持たせることができます。
例えば、様々な会社で「営業(Sales)」や「売ること」をしている場合、似たような業務内容なら、①単語を変える、②どこかの会社のSales業務を削除する、といった感じで重複を避けるよう気を付けるといいですね。
しかし、職歴が多くなったり仕事の幅が広がると、単語の重複は仕方ないこともありますので、その場合は内容を変えて表現するなどの工夫が必要です。
10.不要なことは一切書かない
英文履歴書では、仕事に関連する内容以外は書かないことが一般的です。
日本語の履歴書で記載欄がある、「生年月日」「年齢」「性別」「配偶者の有無」「健康状態」「退職理由」「趣味・特技」「志望動機」「通勤時間」「最寄り駅」「緊急連絡先」「履歴書の作成日付」「特記事項」といった情報は不要となります。
私がネイティブに履歴書を添削してもらったときは、出身国によって「趣味・特技」を入れるか?入れないか?のアドバイスが異なりました。
- オーストラリア:趣味・特技の記載不要
- カナダ::趣味・特技の記載不要
- ニュージーランド::趣味・特技をちょっと入れると良いらしい
ニュージーランドでは、「趣味・特技」を入れておくと面接での雑談のネタになって良いとのことです。
しかし不安なら、不要なことは一切書かないようにしておけば間違いないでしょう。
ワーホリで実際使った英語メールでのレジュメの送り方
実際に私が応募先の企業にレジュメを送る時に使った、英語メールの例を紹介します。
Dear Hiring Manager,
I am writing to apply for the Japanese Marketer/ Counselor position advertised on Craigslist on the 15th of September.
I worked in the Sales and Marketing department at a Language school located in Sydney, Australia and a telecommunication company in Japan. Also, I worked as a Private Tutoring School Teacher for secondary school students. My experience in several companies focused on building close relationship with clients and students. I hope these experiences qualify me for the position.
I would be delighted if you could have a look at the attached cover letter and resume.
I look forward to hearing from you soon.Yours faithfully,
Chifunny Yamada
日本語にすると、以下のような訳になります。
採用担当者様
11月1日付で〇〇〇〇に掲載された日本人マーケター/カウンセラーの求人に応募いたします。
私は、オーストラリアのシドニーにある語学学校と日本の通信会社のセールス・マーケティング部門で勤務しました。また、中学生を対象とした個別指導塾の講師としても働きました。いくつかの勤務経験の中で重点を置いていたことは、クライアントや生徒と親密な関係を築くことです。これらの経験が、このポジションにふさわしいものであることを願っています。
添付のカバーレターと履歴書をご覧いただければ幸いです。
ご連絡をお待ちしております。よろしくお願いいたします。
チファニ やまだ
レジュメを送る英語メールのポイントは、自分が応募するポジションと関連する過去の経歴を述べたうえで自分が相応しいとアピールすることです。
書類選考通過率を上げたい時に特に注意するポイント
私が海外4ヶ国で就職活動をして手ごたえを感じた、書類選考通過率を上げたい時に特に注意しているポイントをお伝えします。
- 履歴書ではプロフェッショナルな言葉を選ぶ
- 英語力は書かない
1.履歴書ではプロフェッショナルな言葉を選ぶ
日本と海外で働いてみて思ったことは、海外の方がプロフェッショナルな言葉を使っている人が多い点です。
例えば、デパートの化粧品販売員の仕事ですが、日本では「販売員」なのに対して、海外では「ビューティー・スペシャリスト」と名乗っている人がいます。
それと反対の例で、私はリラクゼーションスパの「フロントデスク・レセプショニスト」という肩書で働きましたが、ビザアドバイザーさんに雇用契約書を見せたところ「これ、運営マネジメントレベルの仕事だよ」と言われ、昇格・昇給をアドバイスされました。
良くも悪くも、職業(ポジション)の名前と実際の業務内容にズレがあることはよくある話です。
近年では日本の求人でも、
- ショップ店員→ファッション・アドバイザー
- 商品説明→コンサルティング
など、横文字のカッコよさげな名前を使うことも増えてきています。
これまでの職歴や経験した仕事の「契約書の業務内容」を翻訳してみると、プロフェッショナルな単語に変換されることがよくあるので、一度試してみることをおすすめします。
2.英語力は書かない
ワーホリの履歴書を作成するとき、「英語力」を記載している人も多いですよね。
しかし、私がオーストラリアの就職活動で教えてもらったことは、
- TOEIC®L&R 900点以上
- ケンブリッジ大学英語検定 CAE以上
じゃないなら書かない方がいいということです。
ローカルの仕事をするなら「英語面接」が必須なので、履歴書に英語力を書かなくても面接でわかります。
ですが同時に、英語力がすべてではないこともあるので、まずは面接に呼ばれることが先です。
【まとめ】履歴書作りに悩んだら人のを見せてもらおう!
就職活動で使う履歴書は、力を入れて作成することが大事です。
しかし、余計な情報を書きすぎないことも履歴書作りの戦略の一つになります。
最初は難しいかもしれませんが、様々な人の履歴書を見せてもらい、良い表現は自分の履歴書にも取り入れて、何回も修正しながら魅力的な履歴書を作っていきましょう!