帰国子女が羨ましい?知ると「ずるい」と思えなくなる海外インター生の苦労

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英語がペラペラな帰国子女を見ると「海外に行くだけで英語がペラペラになって帰ってきて、いいな〜」と思うことありませんか?

特に、大人になってから英語を勉強し始めると、自分の日本語訛りの発音が気になり、学生の頃から英語に触れてきた人に会うと、どうしても比較べてしまう…。

チファニ
私も以前は帰国子女が羨ましいと思っていましたが、インターナショナルスクールで帰国子女や外国人生徒の入学を受け入れる仕事をし、「羨ましい」とも「ずるい」とも思わなくなりました。

このページでは、インターナショナルスクールで働いて知った、英語がペラペラで日本語もキープしている帰国子女たちの海外での苦労や努力について、お話ししようと思います。

海外インターナショナルスクール帰国子女の苦労

まずは、海外のインターナショナルスクールに通った帰国子女たちの、現地での苦労についてお話しします。

1.教育を受ける場所がインターナショナルスクールしかない

保護者の海外赴任先がマイナーな国や地域だった場合、滞在するエリアに日本人学校がないことが多々あります。

そうなると、在籍する学校の選択肢がインターナショナルスクールしかないということも…。

日本では日本語の教育を受けてきたのに、突然海外の英語環境に放り込まれることは、慣れるまでの負担が大きくなるのです。

 

2.日本語のサポートがない

日本人在住者が少ない地域には日本人学校がない!ということは、日本語(日本人)の需要も少ないため、インターナショナルスクールにも日本語サポートがないことがほとんどです。

「まずは、英語ができるようになるために、英語の勉強をしましょう!」と悠長なことを言っている暇はなく、インターナショナルスクール在籍直後からいきなり英語で授業が始まります。

帰国子女が在籍する海外のインターナショナルスクールには、大人になってから語学留学で行く「語学学校」のような日本語サポートは(ほとんどのケースで)ありませんし、もちろん日本人カウンセラーだっていません。

 

3.嫌でも英語を勉強しなければいけない

保護者の仕事の都合で海外に行き、インターナショナルスクールに在籍するならば、嫌でも英語を勉強しなければいけません

そして、英語ができなければ、授業について行くことが難しくなります。

大人になってから海外に渡航するなら、自ら日本語の環境を探してどっぷり浸かる(ある意味で息抜きする)ことも可能ですし、自分のタイミングで日本に帰国することも可能です。

でも、「勉強することが義務」の小・中学生や高校生となったら話は違います。

もちろん、東大や京大に行けるレベルの頭脳を持った天才型の帰国子女なら、圧倒的に覚えが良いため、1年程度で英語をほぼマスターすることも可能ですが、問題なく教育を受けられる英語力が定着するまで(通常は)2年~5年かかると言われています。

 

4.英語がわからない=授業がわからない=成績が落ちる

インターナショナルスクールの授業は(当たり前ですが)全て英語。

つまり、英語がわからなければ、授業の内容も理解することができず、成績が落ちます

成績が落ちている理由が言語(英語)の問題だけならば、言語(英語)の問題を解決できれば徐々に成績を戻していくことができますが、要領がいい子や頭のいい子でも、最低半年〜1年くらいの時間がかかっている印象です。

 

5.英語ができなければ友達ができない

当たり前のことですが、海外のインターナショナルスクールには日本語ができる人がほとんどいません。

つまり、自分が英語を話さなければ友達を作ることが難しくなります

さらに、英語ができない劣等感を抱えながら、自分からクラスメイトの話の中に入っていかなければいけないので、精神的にも苦痛です。

 

6.日本語を忘れないために土曜日は日本語補修校で勉強

保護者の仕事の都合で海外に行っているなら、赴任期間の満了とともに日本へ帰国する未来が待っています。

そのため、海外のインターナショナルスクールに在籍している期間、日本語を忘れないために土曜日に日本語補修校で勉強している生徒が多くいます。

本当は遊びたい気持ちを我慢して土曜日も学校に通っているという話を聞くと、自分が帰国子女の立場だったら「本当に嫌!!」って思うだろうな…と心が重くなりました。

日本に帰国した後もインターナショナルスクールに通うのであれば、子供の学習言語を完全に「英語」としてしまうことも1つの手段ですが、日本帰国後に公立/私立/国際学校に編入するなら、必ず日本語力が必要になります。

特に、古典や漢文などの授業は、現代文よりも難易度が上がるのです。

 

【やっと海外文化に慣れたのに…】日本帰国後の帰国子女の悩み

それではここから、日本帰国後の帰国子女の悩みをお話しします。

1.日本の学校に馴染めない逆カルチャーショック

海外の文化に慣れてしまった帰国子女は、日本帰国後日本語の学校に馴染めなくなる逆カルチャーショック状態になることがあります。

  • 日本人たるもの日本人らしくあれ
  • みんなと同じように周りに合わせる
  • 自分の意見は押し殺して先生の言うことを「ハイ」って聞く

海外で自分の考えを表現し自分の頭で考えて行動する文化に馴染み、日本帰国後に真逆の日本文化に染まることを求められると、拒否反応が出てくる帰国子女もいるのです。

 

2.補修校に行ってもやはり日本語力は落ちる

海外でインターナショナルスクールに通うことになったとしても、第一言語が日本語で土曜日に補修校に通っているなら日本語力キープできるんじゃないの?

確かに、家族内で日本語で会話をする程度の日本語力ならキープできるかも知れません。

ですが、筆記となると話は変わります。

  • 簡単な表現なのに適切な漢字を使えない
  • 送り仮名を正しく使えない

このような細かな部分に精彩を欠くケースが多く見られるのです。

補修校と言えど、週に1回土曜日に通うくらいなので、週に5日フルタイムで日本語の教育を受けている日本人より確実に日本語力は劣ります。

 

3.編入試験では英語力+学力が必要

日本帰国後、インターナショナルスクールへ編入する場合、「英語力+学力」が必要になります。

特に高校生になってからの編入が大変で、英語の難易度も高くなるし、授業の難易度も上がっているため学力も必要です。

 

英語ペラペラだけど英語を話したくない帰国子女もいる

海外に行って、インターナショナルスクールで努力して英語の授業についていけるようになり、日本人が憧れる「英語ペラペラ」になっても、英語を話したくない帰国子女もいます。

チファニ
私が話した高校生が、「大学では英語話したくないし、英語嫌いだから日本に帰ってきた」と言っていました。

長年海外に住んで英語に慣れても、わざわざ脳みそを回転させて話したくないし、自然と言葉が出てくる「日本語」を使って話したほうが断然楽で、自分の思っていることを詳細に伝えられるとのことです。

編入する学校によっては寮に入ることができるので、両親は海外だけど子供だけ帰国して日本の国際学校(帰国子女を受け入れている学校)に通う選択肢もあります。

 

英語ペラペラな帰国子女が羨ましいなら週末遊ばず勉強してみたら?

私は大人になってから自分の意思で海外に行き英語を勉強したので、正直、幼少期の頃から海外で英語に触れられる環境にいた帰国子女が羨ましいと思っていました。

でも、私の友人の英語がペラペラな帰国子女は、「羨ましい」と言われるとこう思うらしいです。

帰国子女
そんなに英語がペラペラで羨ましいなら、週末遊ばずに必死で英語勉強してみたら?

帰国子女の中には、天才型の人やもともとの地頭が良い秀才、素質的に海外の方が合っている人、持ち前の明朗快活さで乗り越えていくスーパーポジティブ型の人、いろんなタイプの帰国子女がいます。

ですが皆、強制的に英語に触れるという過程を踏み、英語がペラペラになったのです。