【中学/高校留学】目的が帰国子女枠狙いならやめとけ!と言いたい3つの理由

中学生や高校生の頃から海外の現地校に留学することは、将来グローバルに活躍したい子供にとって英語力の向上と国際感覚を身につけるいい機会。

私はオーストラリアで、中学・高校留学を希望する生徒たちが受講するファンデーションコース(英語準備コース)がある語学学校で日本人カウンセラーとして働き、現地校入学前の日本人の中高生と現地校を卒業して日本帰国直前の高校生(大学生)に接する機会がありました。

若いのに自分の人生をしっかり考えていて、早いうちから海外で成長できる機会があって羨ましい!私も中高生の頃に留学したかった…と思ったことを覚えています。

ですが、日本にあるインターナショナルスクールで入学受け入れの仕事をし、「帰国子女枠狙いで子供を海外に中学・高校留学させることがある」という現実を知り、衝撃を受けました。

本来私は海外留学肯定派ですし、本人が本気で望むなら経験してもいいものだと思っていますが、「帰国子女枠狙い」が目的の留学には、その後(日本帰国後)の選択肢や子供の進路・子供の気持ちの部分でリスクとなる点が複数あるのです。

そこでこのページでは、帰国子女枠狙いなら中学・高校留学はやめた方がいい!と思う理由と注意点を、実例も併せてお話ししたいと思います。

 

帰国子女枠狙いの中学/高校留学はやめとけ!と言いたい理由

1.「帰国子女枠狙いでは?」と疑問視される可能性アリ

インターナショナルスクールには、「子供が一人で海外に留学している」という家庭からの問い合わせが定期的にあります。

受験資格を満たしている場合、学校見学・個別相談で子供の英語力や留学時の学習の進捗状況・入学後の授業のカリキュラム等について話し合うのですが、中には「帰国子女枠狙いでは?」と疑問視されるケースがあり、その根拠が4つあります。

 

1-1.現地の学校の卒業は目指さないんですか?

個人で留学をしている中学生・高校生の場合、子供本人が本気で希望しているなら、現地の学校の卒業を目指して渡航しています。

早い人だと、中学1~2年生の頃から留学していて、海外在住歴が1年や2年ではなくそれ以上。

今回の新型コロナウイルスのような特別な事情があった場合、(不本意ながら)帰国を検討しなければいけない例はたくさんあります。

ですが、新型コロナウイルスが発生する前から、あと1年で卒業できるのになぜ卒業を目指さずに日本に帰国するの?というケースも一定数ありました。

もちろん、元々1~2年のお試しで留学する予定だったとか、現地で生活しているうちに様々な変化(例:家庭の事情、金銭的な問題など)があったなど、帰国する理由はそれぞれなので理解できます。

でも、考えなければいけないのは、高校生の場合、必ずしもすべての高校が途中編入を受け入れているわけではないということ。

特に、高校3年生への編入は選択肢が少なくなりますし、編入するためには編入試験を受けて合格しなければいけません。

進路においても、海外大学への進学を考えるなら、そのまま現地の高校卒業を目指す方が理にかなっています。

日本の大学への進学を目指していたとしても、海外の高校を卒業見込みであれば「帰国子女枠」で受験できる大学もあります。

卒業目前の進路を決める時期(日本の高校編入が難しい時期)に海外の学校を自主退学してまで日本に帰国する理由が明白でなければ、編入を受け入れてもらえる可能性は低くなるのです。

 

1-2.本当にリサーチしてる?英語力が定着するまで2年〜5年

保護者の仕事の都合で子供が海外に行く場合、赴任期間が何年かによって、子供を日本人学校に入れるか?インターナショナルスクールに入れるか?を検討します。

ここで、海外志向の強い日本人なら、「せっかく海外に行くのに、子供をインターナショナルスクールや現地校に入れないの?」と疑問に思うこともあるかもしれません。

でも、日本人学校が選択肢に入ってくる理由は、インターナショナルスクールに入れたとしても、満足に授業を理解できる英語力を定着させるまで2年〜5年かかると言われているからです。

もちろん、東大や京大レベルの頭脳の持ち主で、10ヶ月でほぼ英語をマスターして帰国した帰国子女の例も聞いた事はあります。

でも、海外赴任期間が1年~2年の場合、中途半端に英語で学習させるのではなく、日本語力の維持を優先させ、子供を日本人学校に在籍させる家庭も少なくありません(赴任先によって日本人学校がない場合は別です)。

それとは逆に、子供に中学・高校留学をさせる家庭でよく見られるのは、2年で帰国させてしまうケース。

やっと英語の授業を満足に理解できるレベルの「英語力」を定着させたのに、なぜ「ここからだ!」というタイミングで日本に帰国させるのか?

この点が「ちゃんとリサーチしてその選択をしているの?」と疑問視されてしまうのです。

 

1-3.帰国子女の認定条件クリア直後に帰国するのはなぜ?

日本の国際学校や私立の学校には、「帰国子女枠」を設けている学校があります。

インターナショナルスクールへの入学を希望する場合でも、各学校が定める「受験資格」を満たすことが必須です。

例えば…

  • 海外の教育機関で最低2年以上英語で学習していること
  • 国際的に認められたインターナショナルスクールで最低2年以上学習していること

というように、英語での学習期間を最低2年と定めている学校があります。

先ほども言いましたが、中学・高校留学では2年で帰国させてしまうケースが多いのが現状。

「帰国子女枠狙いでは?」と疑問視されるケースでは、ここまで挙げた

なぜ、現地の学校の卒業(3年)を目指さないの?

英語の授業を満足に理解できる英語力が定着するまで2年~5年と言われているのに、なぜ2年で帰国させるの?リサーチしてる?

なぜ帰国子女の認定条件(2年)をクリアした直後に帰国させるの?

という3つの疑問点を持ち合わせることが多く、これら上記の疑問を払拭する回答を得られたことはほぼありません。

 

1-4.なぜその国?なぜインターナショナルスクール?

帰国子女枠狙いではないか?と推測されるケースでよくあるのが、個人留学しているのにインターナショナルスクールに在学するケース。

別にインターナショナルスクールが悪いと言っているわけではありませんが、ここで、私が働いていたオーストラリアの語学学校の話をします。

オーストラリアでは、外国人の中高生がオーストラリア国内の学校で教育を希望する場合、授業に必要な英語力を養うため「ファンデーションコース(英語準備コース)」に通う必要があります。

私が勤めていた語学学校のファンデーションコースに通っていた生徒は、コース終了後(語学学校卒業後)の進学先として、インターナショナルスクールではなく現地校(公立/私立)を選択していました

その状況をこの目で見てきたので、中高生のうちから海外留学に行かせて、なぜ現地校ではなくインターナショナルスクールに入れるのか?と疑問ですし、現在働いている日本のインターナショナルスクールの教員も同じ疑問を持つようです。

もっと突っ込まれるケースは、なぜ英語圏ではない東南アジアのインターナショナルスクールを選択するのか?

もちろん、「留学させたいけれども経済的な問題があるから学費が安い東南アジアに行く!」という理由もあると思いますが、子供の教育を心の底からしっかり考えての選択だと納得させられる理由がなければ、「帰国子女枠狙い?」と思われても仕方ないのです。

 

2.個人で中学/高校留学して英語力も成績も芳しくないは通用しない

保護者の仕事の都合で海外に行く子供は、自分の意志で「海外に行く」という選択をしている訳ではありません。

海外の環境や学校生活に慣れるまで、言語の面でも精神的にも苦労し、日本に帰国した後も逆カルチャーショックや周囲に個性を受け入れてもらえない現実と戦います。

そして、自分の意思で海外に行くわけではないのに、日本語力も学校の成績も落ちてしまう…。

ある意味ハンディキャップになってしまうんですよね。

保護者の仕事の都合で海外に行く帰国子女とは違い、個人で中学・高校留学に行くのなら、入学試験(編入試験)の出願書類には「子供本人の意思で留学した」と書くことになるでしょう。

たとえ留学した理由が、「保護者のすすめ・保護者の希望・保護者のエゴ」であったとしてもです。

子供本人の意思で留学したのなら、海外の学校での成績があまりよくなかったとしても、「すべての授業が英語だから、その影響で成績が芳しくない」という言い分は通用しません。

そして、英語力自体もそれほど高くないのなら致命的です。

 

3.高校生での編入は結構厳しい

「高校生での編入は結構厳しい」という点については先ほども少し触れましたが、高校生になってから帰国(編入)の可能性があるなら、絶対に覚えておいてほしいことが2つあります。

3-1.入学試験(編入試験)の難易度が上がる

帰国子女としてインターナショナルスクールに編入させたい場合、入学試験では「英語力+学力」が必要になるのですが、高校生になると試験の難易度が上がります

  • 英文法を正しく使って文章が書けない
  • ライティングの内容・表現方法が学年不相応
  • 制限時間までに終えられなかった

英語力がやっと定着し「これからだ!」という時期に日本へ帰国すると、本来持っている学力を海外で発揮できない(挽回できていない)まま、試験に臨まなければいけないというデメリットがあるのです。

 

3-2.学年の定員や帰国子女枠の制限

日本に帰国後、インターナショナルスクールの入学試験を受けず、国際学校や私立の学校への編入を考える場合、帰国子女枠に制限があったり学年ごとに定員があるデメリットを考える必要があります。

日本の高校を卒業するためには、海外の高校の在籍期間も合わせて合計36カ月間在籍しなければいけません。

海外の高校の籍を抜き帰国した後、日本で編入先の高校に在籍するまでに1ヶ月以上の空白期間(夏休み等の長期休暇は除く)があると、卒業時期が遅れることがあります(学年を1学年下げて編入するならば必然的に36ヶ月以上の在籍となるので問題なし)。

受験する高校の編入試験に全て不合格となったら籍を置けない可能性も出てくるので、高校生で個人留学するのなら「現地で高校を卒業する!」ぐらいの気合いで望むことをおすすめします。

 

帰国子女枠狙いの中学/高校留学をさせる前に考えるべきリスク

帰国子女枠狙いの中学/高校留学には、もちろんリスクがあります。

1.【緊急帰国】御校に入れるために海外留学させたんです!は通用しない

インターナショナルスクールで入学受け入れの仕事をすると、以下のような問い合わせが時々来ます。

海外留学していたのですが、緊急帰国を余儀なくされました。でも、御校に入れるために海外留学させたんです!何とかなりませんか?

帰国子女としての受験資格を満たすため、本当ならば2年間海外の教育機関で学んだ後に帰国する予定でしたが、2年未満で緊急帰国を余儀なくされた例です。

子供の中学・高校留学は悪いことではありませんし、チャンスがあるなら経験してみてもいいと思います。

ですが、それはあくまで子供が海外留学を望んだらの話で、インターナショナルスクールや国際学校・私立学校の帰国子女枠の受験資格を満たすための留学はおすすめしません。

 

2.成績が思うように上がらず進路に支障をきたす可能性

現地の学校を卒業するまでに考えなければいけないリスクは、緊急帰国だけではありません。

英語力が伸びないことが原因で授業についていけなくなり、成績が思うように上がらないこともあります(これは保護者の海外赴任の帯同で海外に出た帰国子女でもよくある話です)。

もちろん、自ら意欲的に海外留学を選択しているのなら、その根底には「英語力を身につけたい」「将来はグローバルに活躍したい」など、ポジティブな理由があることは当然だと思います。

ですが現実には

英語力を上げたくて海外に留学

英語の習得に苦戦

成績が思うように上がらない

進路に支障をきたす

というケースもあります。

中学・高校生の年齢になる頃には、第一言語は「日本語」で定着していると思いますが、海外留学では授業を「英語」で受けるため、本来の能力を発揮できない(日本語であればすんなり理解できるはずなのに、英語だから理解度が下がる)ことは明らかです。

 

3.日本帰国後にインターや国際学校に入れなかったらどうする?

帰国子女を狙い高額な費用をかけて中学・高校留学させても、残念ながら第一希望のインターナショナルスクールや国際学校に入れなかった場合、他の選択肢を見つけて「卒業」を目指す必要があります。

日本に帰国しても、海外で培った英語力や国際感覚を活かせない環境に戻らなければいけないこともあるのです。

もちろん、海外で向上させた英語力を維持することは、オンライン英会話を利用すれば可能かと思います。

ですが先ほども述べたように、特に高校生での編入は定員や帰国子女枠に限りがあるという理由から、簡単ではありません。

 

【海外留学がすべてではない】子供が本来の力を発揮することが優先

私は大人になってから自らの意志で海外に出て、現地の会社で働いてきたので、「中学生や高校生の頃に海外留学をして、ガッツリ英語環境に身を置く機会があったらどんなによかっただろう…」と時々考えます。

このページでは、中学・高校留学に関しての注意点をメインで書いていますが、本来私は海外留学肯定派ですし、子供が本気で望むなら経験してもいいものだと思っています。

ですが、インターナショナルスクールで入学受け入れの仕事をしてみて、「親に留学させられてたんだな、この子」という印象を受ける子供を定期的に見てきたため、心が苦しくなりました。

日本を離れ海外で教育を受けることは、メリットばかりではなくデメリットもあり、言語の面でも精神的にも苦労があります。

また、その後の子供の教育や進路に影響を及ぼす可能性も考慮しなければいけません。

本気で海外に出たい子供なら、小学校・中学・高校でしっかり勉強した後に海外の大学に進学という選択でも全然遅くはないです。

海外の大学に進学できず(進学せず)、学生のうちに「留学」という夢が叶わなかったとしても、本当に海外に出たいなら、社会人になってから自ら進んで海外に出ていくと思います。

もしかしたら「留学」という形で海外に出るのではなく、「海外就職」かもしれません。

「グローバル人材」「グローバル教育」と言われている時代なので、「今の時代は英語」と思ってしまうかもしれませんが、一番大事なのは教育の基盤をしっかり固めて子供が本来の力を発揮することです。