
海外で仕事を探す時、「履歴書を配り歩く」という方法を使い、就職活動をすることがあります。
「履歴書を配り歩く」という言葉だけ聞くと、簡単そうに思いますが、案外これが度胸がいる行動なのです。
日本でも履歴書なんか配り歩かないのに、海外で自分の履歴書を配り歩くなんて、なかなかチャレンジングですよね!?
門前払いをくらうこともあり、心が折れそうになることもしばしば…。
ですが、私は海外3ヵ国で履歴書を配り歩き、気づいたことがありました(履歴書を配り歩かずにインターネットだけを駆使して就職活動をすると、絶対に気づけないことです)。
というわけでこのページでは、会社に勤める人の良し悪しの見極め方を実例とともにお話ししたいと思います。
目次
その会社に勤める人の良し悪しは○○で見分けられる
仕事探しをする時、多くの人は業務内容を重視する傾向にありますが、仕事を辞めたいと思った理由で上位に食い込んでくるのが、職場の人間関係。
マイナビ転職が行ったアンケート調査によると、退職理由ランキングで「職場の人間関係が良くない」という理由は2位となっております。

引用元:マイナビ転職
この結果から、自分が興味のある会社や「働きたい」と思う会社でどんな人が働いているかは、とても大事なポイントになるということがわかりますね。
インターネットで就職活動をすると、会社に勤める人の雰囲気を知ることは難しいですが、履歴書を配り歩いて就職活動をするなら話は別。
その会社に勤める人良し悪しを見分けるヒントは、受付スタッフに隠されています。
もちろん、多くの会社の受付スタッフはスタンダードですが、何件も配り歩いていると、「この会社の受付スタッフの対応、超いい!」と思う会社と、「うわっ、この受付スタッフ感じ悪っ!」と思った会社、両極端な2種類の会社に遭遇しました。
ではここから、受付の対応が良かった会社と、受付スタッフが感じ悪い会社でのその後の対応はどうだったか、具体例を挙げて話していきます。
ケース1:履歴書を渡したら2名のスタッフが対応してくれた会社のマネージャーは…?

ニュージーランドのとある会社(以下:会社A)に履歴書を配った時のこと。
会社Aは、大都市の中心部にある会社ではなく、中心部からバスで1時間ぐらいの場所にある会社でした。
履歴書を配りに行ったのは14:00頃で、午後のゆったりした時間が流れており、受付付近には1名のスタッフがいました。
そのタイミングで突然、履歴書をもって乗り込んできた私…。
私はそれだけ言い残して帰ろうと思いましたが、それを聞いていた別なスタッフが後ろから出てきて、私の経歴について話しかけられました。
「オーストラリアとカナダに行ったんだね!わお!」
そして少し話した後、「オッケー!マネージャーに君が来たこと伝えておくよ!履歴書も渡しておくね!」と言われ、胸を撫で下ろして帰路についたのですが、その3日後、会社Aのマネージャーから連絡が来ました。
私に連絡をしてくれた理由は、まだ求人に出ていないポジションで人を探していたからで、そのタイミングで履歴書を持参して突撃しにきた私のことが話題になり、興味を持ったとのこと。
結局私は他の会社での採用が先に決まり、会社Aとはご縁はなかったのですが、新参者の外国人(私)でも軽くあしらわずに対応してくれる受付スタッフがいる会社は、面接に呼んでくれたマネージャーもフェアな提案ができる人。
面接では、私の就活状況と優先順位を考慮してくれ、且つ前向きな話し合いができる「いいマネージャー」だったのです。
ケース2:受付スタッフと話が盛り上がった会社Bのマネージャーの対応は…?

カナダで履歴書を配った、とある会社(以下:会社B)での話。
そこにいた受付スタッフは外国人男性で、カナダに来て2年。
「僕も来たばかりの頃は、君と同じように履歴書を配り歩いて、仕事を見つけるのに苦労したよ~!結構キツイよね~!」という言葉をかけてくれました。
会社Bに履歴書を持って行った時の私の状況は、かなりの枚数の履歴書とカバーレターを配り歩いたのに、全くと言っていい程反応がなかった頃。
そんな時に受付スタッフからねぎらいの言葉をかけてもらい、不覚にもちょっと心の内を吐き出してしまったのです。
「私も結構な枚数配ったけど、今のところ反応なし!心折れそうになる~。ところでどのぐらい履歴書配ったの?」
こんな具合で、海外での仕事探しについて会話をした後、「履歴書はマネージャーに渡すから!仕事探し頑張ってね~」と言ってくれ、心が温かくなったのを覚えています。
そんな会社Bのマネージャーからは、こんなメールが届きました。

履歴書ありがとう。残念ながら、今のところ誰も雇ってはいないけど、近い将来(雇うことになった時)のためにファイルに入れて保管しておくわね。
本来、履歴書を配ってもポジションに空きがなかったら、マネージャーから連絡来ることは99%ないに等しいのですが、しっかり対応してくれる受付スタッフがいる会社のマネージャーは、このように一言連絡をくれるのかもしれません。
用事がなければ基本スルーの海外で、履歴書を受け取ったことをメールで知らせてくれただけでも、この会社の印象は爆上げです。

ケース3:用意した履歴書を渡さなかった会社の面接に行ってみたら…?
カナダのとある会社(以下:会社C)での話。
オフィスも比較的落ち着いている15時頃に履歴書を渡すために乗り込みました。
受付には数名外部からのお客さんらしき人がいて、私は受付スタッフの女性の対応の様子を後ろから見ていたのですが、口調が強くふてくされているように見受けられました。
この時感じた私の直感は、「この会社のポジションが空いていても、この受付スタッフと一緒に働きたくない」。
せっかく会社C専用のカバーレターと履歴書を作りましたが、履歴書を置くのをやめ、次の会社へ向かいました。

それから1ヶ月ぐらい経った頃、ふと求人情報を眺めていると、会社Cの求人が出ていました。
仕事を探し始めて約2ヶ月、手ごたえのない就職活動。
「せっかく求人が出ているんだから、履歴書送りなよ!」という友人の一言に背中を押され、メールで履歴書とカバーレターを送ったところ、面接の連絡が来たのです。
面接当日、会社Cの受付には、1ヶ月前に嫌な印象を受けた女性スタッフが…。
「面接に来ましたチファニーです。マネージャーと○時に約束しています。」
その日はそんなに機嫌が悪くなかったのか、ごく普通の対応。
でも、その後に出てきたマネージャーが、無精ひげを生やした不愛想な感じの方。
なんか…嫌な…予感…
1ヶ月前に嫌な印象を受けた受付スタッフと同じ印象をマネージャーにも抱き、面接の部屋に通されたのですが、今まで受けてきた「海外での面接」とは遠くかけ離れた面接が始まりました。
「え~と、ちょっと待って、君の経歴、いったいどうなってるの?」
「なんでこんな行ったり来たりの人生送っているの?」
「もっと計画的な人生設計したほうがいいんじゃない?」
「君の人生は、行き当たりばったり?」
「この人生を歩んでいて、後悔したことはない?」
「ちゃんとした理由があっての行動なのか、ただの思い付きで行動しているのか確認したくて!」
私が会社Cで受けた面接は、本来の海外面接で聞かれるような、受けるポジションでの仕事内容と応募者の過去の経歴を照らし合わせ確認するものではなく、ほぼ9割は、私の人生の在り方に対する(否定的な)質問ばかり。
「じゃぁ、なんで私を面接に呼んだのよ!?」と思いましたが、海外面接では時々ある、履歴書をちゃんと読んでいないという悪い例に当たってしまったのです。

【番外編】ご縁がない会社の入り口にはたどり着けない?

履歴書を配り歩くと時々遭遇する、「受け取ってもらえない」という状況。
その中の一つである会社(以下:会社D)では、かたくなに履歴書の受け取りを拒まれました。
会社Dの受付で最初に見た光景は、足を組んで椅子に座り背もたれにもたれかかって同僚と話している女性(この人が受付スタッフ)と、お相手の同僚の男性。
嫌な印象でしたが、せっかく来たので話しかけてみることにしました。
私:「今仕事を探していて履歴書を持って来たのですが、マネージャーはいますか?」
受付:「ここにマネージャーはいないよ!」
私:「OK!では、もしどこかのポジションに空きがあったり、アシスタントでもパートタイムでも人手が必要だったら連絡が欲しいので、マネージャーに履歴書を渡していただけませんか?」
受付:「だから、ここにはマネージャーはいないの!マネージャーは別な場所にいるの!」
私:「履歴書を渡していただくこともダメですか?」
受付:「別な場所にいるから、そっちに持って行って」
私:「別な場所って、○○ストリートの方ですか?」(実は、もう一つ住所があるのは知っていました)
受付:「そう、そっちにいるわ!私はあなたに何もしてあげられない」
ここまで履歴書の受け取りを拒否されたことは、過去に履歴書を配った会社の中でも、会社D以外ではありません。
履歴書をマネージャーに渡すのが面倒ならば、受け取るだけ受け取って「OK、渡しとく。」と軽くあしらいゴミ箱にポイ!ということも起こり得る海外での仕事探し。
「なんでこんなに拒むんだろう?感じ悪い…」と嫌悪感を抱いたのですが、後日気を取り直して、受付の女性に言われた「会社Dの別な建物」を調べて再アタックしました。
でも、不思議なことに、確かにビジネスオフィスはあるように見受けられるのに、入り口が見当たらない…
中に人もいるのに、どこから入ればいいのかわからない…
その時直感的に気付きました。
「あ、履歴書の受け取りを拒まれた時点で、ご縁がなかったんだ…。」ということを…。

いいマネージャーはいいスタッフを呼ぶ?履歴書を配った時の直感は信じてみるべし!
インターネットに出ている求人に応募する仕事探し方法とは違い、現場のスタッフや会社の雰囲気を感じ取れる「履歴書を配る」という就職活動の方法。
会社に一歩足を踏み入れた時にスタッフから受ける嫌な印象も、感じのいいスタッフに対応をしてもらって受ける印象も、マネージャーの写し鏡なのかもしれません。
「類は友を呼ぶ」ということわざがあるように、「いいマネージャーはいいスタッフを呼ぶ」。そして、その逆もまた然り。
もちろん、自分にとっての「いい」「悪い」があるのは当然ですし、すべての会社に当てはまる訳ではありません。
ですが、限られた時間の中で良縁を見つけたい海外での就職活動中は、働いているスタッフの様子を見て、「この会社で働きたいか?働きたくないか?」を直感で感じることも大切。
嫌な印象を受けたら、履歴書を渡さず、粘らず、「ハイ次!」と切り替える決断力も必要です。