- 高給だけど実力主義な世界
- ジョブ型雇用
- 仕事ができないとクビになる
これらは、外資系企業とはどんなところか?で挙げられる代表的な例です。
日本の働き方とは違う点をわかりやすく説明するためには、インパクトが強くて分かりやすいですし、きっと高学歴のエリートが集まる世界はそうなのかもしれません。
ですがこの世の中、社会に出た後に仕事で英語を使いながら覚えていったり、低所得からスタートした人も少なくないはずです。

そこでこのページでは、外資系や海外で働く中で見てきたリアルをお伝えします。
外資系や海外で働く中で見てきたリアル【残酷な現実や闇もアリ】
1.【実力主義とは名ばかり】役職があっても契約社員・低所得
私が働いていた、海外に本社がある外資系ホテルでのこと。
お客様の8割は外国人で英語は必須、まさに「外資系」!…と言いたいところですが、中で働いている平社員のほとんどは、学生時代に留学したり海外の大学を卒業した「英語が話せる日本人」でした。
海外就労経験がある人は数名いましたが、働く文化は日本そのもの。
海外資本なことは確かなのですが、買収されたり本社の方針が変わったりなどを繰り返した結果、直雇用の社員は全員「契約社員」として雇い、正社員としての採用がなくなりました。
方針が変わる前の雇用形態で(長く)働いている社員に対しては、昔の高待遇が適用されますが、方針の変わった後に雇われたマネージャーは、役職があるにも関わらず契約社員。
雇用が安定する「正社員」になれる可能性はほぼ無いに等しい…。
私が海外で出会ったマネージャークラスの人たちの年収は、年収650万円~1200万円と開きはあるものの、働くモチベーションは維持できる金額です。
契約社員な上に、部下の平社員(正社員)より年収が低い外資系マネージャー。
それでも雇用が成り立っているのは、このマネージャーが日本人だからなのだと思いますし、外国人ならすぐに辞める待遇と言っても過言ではありません。
2.実力より人間力!人を辞めさせる人がクビになる
これはもしかしたら、「資本がどこの国か?」が大きく関係しているのかもしれませんが、私が働いていたオーストラリア・カナダ・ニュージーランドでも、外資・グローバルでも、この状況を目の当たりにしたことはありません。
仕事ができない社員に対しては、面談やトレーニングを行い、成長する機会を与えてから対応を検討するケースもあります(もちろん、その限度を決めるのは会社側です)。
ただ、私が唯一見た「クビ」の事例は、人を辞めさせる人がクビになった例(先輩社員の例です)。
クビの理由は、仕事ができる/できないの問題ではなく、新しく入る有能なスタッフがその先輩のせいで次々辞めていく状況が続いたこと。
通常であれば、新人が次々辞めていく状況が続いたからといってクビにするのは難しいかもしれません。
日本にも「お局様」という言葉がありますし、どこにでも「この先輩と一緒の部署の人、長く続かないんだよね~」と悪評の人がいると思います。
ですが、
- 先輩の嫌がらせが、他のスタッフの給与減少を操作するところにまで及んだこと
- 新人が有能で、先輩に嫌がらせをされたスタッフたちを味方につける能力があったこと
- 新人でも、先輩の嫌がらせの証拠を集め上司に報告する勇気があったこと
これらが重なって、私が仕事で関わっていた先輩が、「3週間後にクビね」と通告を受けたのです。
有能な新人が辞めることは、企業にとっては大きな痛手。
だからこそ、人を次々辞めさせる企業にとってのガンを取り除くという結果になったのだと思います。
3.マネージャークラス以上の半数が同時期に退職
私が働いていた海外の職場では、マネージャークラス以上のボスたちの半数が、数ヶ月の間に一気に辞めるという現象が起こりました。
日本の企業では、退職する人の数が多い場合、「そこをなんとか」とお願いして誰かに退職時期をずらしてもらい対処するケースがよくあります。

でも、海外では違いました。
日本では、退職までの申出期間は1ヶ月の会社が多いですが、海外ではその半分の2週間というケースをよく聞きます。
と思ったとしても、期間さえ守れば法律的には問題ありません。
そしてそれは、マネージャークラス以上の役職に就いている人にも当てはまります。
私が働いていた職場では、キャリアアップのための転職、家族が増えるという喜ばしい理由だったため、上層部も祝福して送り出すしかありませんでした。
引き止めるにしても、転職先以上の待遇を用意したり、家族を犠牲にしてでも残りたいと思える条件を用意できなければ難しいでしょう。
また、転職活動は水面下で進むので、誰もマネージャークラス以上の半数が同時期に退職なんて状況は予測できませんよね。
日本で言う「気持ちの問題」は通用しない
日本で仕事を退職する際は、
- 組織のことを考える
- 残る人の負担を考える
- 周りに迷惑をかけないように配慮する
全てをクリアして、円満に退職することが理想です。
もちろんそれは日本だけに限らず、海外でも同じこと。
ですが、私が働いてきた国では、雇用契約書や就業規則に書かれている退職までの申出期間を守り、雇用期間中はしっかり任務をこなせばOK。
「気持ちは理解できるけど、契約は契約、法律は法律」となります。
現場がてんやわんやになると誰もが推測できる状況でも、職場に残る人間がなんとかするしかありません。
気持ちの問題と、契約で定められたことは別問題。
仕事に対しての考え方はドライなのです。